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DATCOM 4.4.1 水平尾翼位置における動圧比の計算

DATCOM 4.4.1 に基づいて、水平尾翼における動圧比を計算する。

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はじめに

DATCOM 4.4.1 に基づいて、水平尾翼における動圧比を計算する。

PDFのページは1203ページ

Method

水平尾翼における動圧比は以下の手順で計算する。

  1. 翼根後端から水平尾翼MACの25%位置までの水平距離\(x\)における対称面内の後流渦の半幅\(z_{w}\)を計算する。
  2. 対称面内の後流渦における吹き下ろし角\(\epsilon\)を計算する。
  3. 後流渦から水平尾翼MACの25%位置までの垂直距離\(z\)を計算する。
  4. 後流渦の中心線上の位置\(x\)における動圧損失\(\left(\Delta q/q \right)_{o}\)を計算する。
  5. 水平尾翼MACの25%位置における動圧損失\(\Delta q/q\)を計算する。
  6. 水平尾翼MACの25%位置における動圧比\(q/q_{\infty}\)を計算する

(Sketch(d)改)

STEP 1

翼根後端から水平尾翼MACの25%位置までの水平距離\(x\)における対称面内の後流渦の半幅\(z_{w}\)を次の式で計算する。

\begin{align}
\frac{z_{w}}{\overline{c}}=0.68\sqrt{C_{D_{0}}\left(\frac{x}{c}+0.15\right)}
\tag{4.1.1-j}
\end{align}

ここで

文字単位説明
\(x\)m翼根後端から水平尾翼MACの25%位置までの水平距離。
後流渦の中心線に沿って測る。
\(z_{w}\)m水平尾翼MACの25%位置における対称面内の後流渦の半幅。
\(C_{D_{0}}\)-主翼のゼロ揚力抗力係数。
DATCOM 4.1.5.1で計算する。
\(\overline{c}\)m主翼の平均空力翼弦長。
DATCOM 2.2.2で計算する。

STEP 2

対称面内の後流渦における吹き下ろし角\(\epsilon\)を次の式で計算する。

\begin{align}
\epsilon&=\frac{1.62C_{L}}{\pi A} \tag{4.4.1-k} \\\\
C_{L}&=C_{L_{\alpha}}\left(\alpha-\alpha_{0}\right)\frac{\pi}{180}
\end{align}

ここで

文字単位説明
\(\epsilon\)deg対称面内の後流渦における吹き下ろし角。
\(C_{L}\)m主翼の揚力係数。
\(C_{L_{\alpha}}\)1/rad主翼の3次元揚力傾斜。
DATCOM 4.1.3.2で計算する。
\(\alpha_{0}\)degゼロ揚力角。
DATCOM 4.1.3.1で計算する。
\(A\)-主翼のアスペクト比。
DATCOM 2.2.2で計算する。

STEP 3

後流渦から水平尾翼MACの25%位置までの垂直距離\(z\)を次の式で計算する。

\begin{align}
z=x\tan{\left(\gamma+\epsilon-\alpha\right)} \tag{4.4.1-l}
\end{align}

ここで

文字単位説明
\(z\)m後流渦から水平尾翼MACの25%位置までの垂直距離。
\(x\)m翼根後端から水平尾翼MACの25%位置までの水平距離。
後流渦の中心線に沿って測る。

また、\(\gamma\)、\(\epsilon\)、\(\alpha\)の定義は以下の通り。

(Sketch(d))

迎角\(\alpha\)は主翼のコードラインを基準にしている点に注意する。

STEP 4

後流渦の中心線上の位置\(x\)における動圧損失\(\left(\Delta q/q \right)_{o}\)を次の式で計算する。

\begin{align}
\left(\frac{\Delta q}{q}\right)_{o}=\frac{2.42\sqrt{C_{D_{0}}}}{\frac{x}{\overline{c}}+0.30} \tag{4.4.1-m}
\end{align}

ここで

文字単位説明
\(\left(\frac{\Delta q}{q}\right)_{o}\)-後流渦の中心線上の位置\(x\)における動圧損失
\(C_{D_{0}}\)-主翼のゼロ揚力抗力係数。
DATCOM 4.1.5.1で計算する。
\(x\)m翼根後端から水平尾翼MACの25%位置までの水平距離。
後流渦の中心線に沿って測る。
\(\overline{c}\)m主翼の平均空力翼弦長。
DATCOM 2.2.2で計算する。

STEP 5

水平尾翼MACの25%位置における動圧損失\(\Delta q/q\)を次の式で計算する。

\begin{align}
\frac{\Delta q}{q}=\left(\frac{\Delta q}{q}\right)_{o}\cos^2{\left(\frac{\pi}{2}\frac{z}{z_{w}}\right)} \tag{4.4.1-n}
\end{align}

ここで

文字単位説明
\(\frac{\Delta q}{q}\)-水平尾翼MACの25%位置における動圧損失。
\(\left(\frac{\Delta q}{q} \right)_{o}\)-後流渦の中心線上の位置\(x\)における動圧損失
\(z\)m後流渦から水平尾翼MACの25%位置までの垂直距離。
\(z_{w}\)m水平尾翼MACの25%位置における対称面内の後流渦の半幅。

STEP 6

水平尾翼MACの25%位置における動圧比\(q/q_{\infty}\)を次の式で計算する。

\begin{align}
\frac{q}{q_{\infty}}=1-\frac{\Delta q}{q} \tag{4.4.1-o}
\end{align}

ここで

文字単位説明
\(\frac{q}{q_{\infty}}\)-水平尾翼MACの25%位置における動圧比。
\(\frac{\Delta q}{q}\)-水平尾翼MACの25%位置における動圧損失。

reference

-

制限

この手法における注意点は以下の通り

  • 遷音速域であること。
  • 揚力傾斜の線形の範囲内であること。
  • 得られるのは対称面内の動圧比であること。

Sample

OpenVSPのExample FileにあるPod Planeについて、実際に計算してみる

↓計算に使用したエクセルファイル(マクロ付き)

↓計算結果

以上

おわりに

DATCOM 4.4.1 に基づいて、尾翼における吹き下ろし角の大きさを計算した。

↓次

DATCOM
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