設計シートで計算した結果と,XFLR5で三次元翼を解析した結果の比較を行う
はじめに
XFLR5とは,低レイノルズ数領域での,翼型や翼,機体全体の解析を行うフリーソフトであり,多くの鳥人間チームの設計で使われている
詳しくは以下の記事を参照
≫XFLR5のホームページ
≫フリーの翼型解析ソフトXFLR5の使い方 – ina111’s blog
≫XFLR5で二次元翼を解析して結果を出力する
≫XFLR5で三次元翼を解析して結果を出力する
設計シートについてはこちらを参照
設計シートとXFLR5の結果の比較
ここからは↑の記事で作った設計シートのプログラムとXFLR5の計算結果を比較することで,設計シートのプログラムの妥当性を検討していく
主翼
まずは設計シートで計算した飛行時の翼の形状を出力してXFLR5(LLT)で解析したものと,設計シートで計算したものを比較してみる
CL,CDはそれなりに一致しているが,Cmはかなり違う値が出てしまっている
設計シートのプログラムとXFLR5の一番の違いは,設計シートではたわみやねじれを迎角ごとに計算しなおしていることに対して,XFLR5ではすべての迎角で最初に入力されたたわみとねじれを使って計算していることである
そこで,下の画像のように主翼桁に上反角をつけ,設計シートでたわみやねじれを計算しなかった場合と,XFLR5の計算結果との結果を比べてみる
結果は次のようになった
ねじれがなくなったぶんCLやCDはさらによく一致し,Cmも傾向は近いものになった
たわみとねじれを計算したときにCmがかけ離れてしまった原因は,翼のたわみにある
例えば速度一定(巡航速度)で迎角10度で飛行した場合,翼には1.5倍の揚力が働き,翼端のたわみは1.5mから2.5mにまで増加する
たわみが大きくなると,空気力のT方向成分によるねじり(高迎角時にはねじり下げ)も大きくなるため,Cmの計算結果はXFLR5の計算結果とかなり異なるものになってしまう
たわみとねじれを計算しなかった場合のCmの計算結果の違いはおそらく翼型データを最小二乗法で近似したときの精度の影響である
Cmのグラフの近似の精度はClやCdに比べてかなり低くなってしまっている
ちなみに,同じXFLR5でも,解析手法(LLTとVLM)によって次の図のような差は出てしまう
以上のもろもろの比較と,設計シート導入によるメリットを考慮した結果,筆者は設計シートのプログラムは妥当であると判断した
尾翼
水平尾翼も同様に設計シートのプログラムとXFLR5(VLM)の結果を比較してみる
CL,CDiは非常によく一致し,CDも迎角が小さい範囲ではよく一致している
筆者は設計シートのプログラムは妥当であると判断した
まとめ
設計シートのプログラムの計算結果をXFLR5の結果と比較することで妥当性を確認した
XFLR5自体も十分に奥が深いソフトなので,先輩から教わった操作方法を鵜呑みにするだけでは満足せず,ぜひ自分の目でガイドラインを読んだりして理解を深めてほしい
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