技術ブログを書き始めて早3年,月間収益が1,000円を超えるようになった
そこで、これまでに感じた技術ブログのメリット/デメリットや自分なりのコツについて紹介する
すでに技術ブログを書いていて収益化を考えている人,これから収益化を視野に入れて技術ブログを始めようとしている人の参考になればと思う
はじめに
技術ブログを書き始めて3年がたった
そういえば引継ぎ資料を書くためにブログをはじめました
— いーそー (@mtk_birdman) August 21, 2019
設計シートとかシミュレーターのこととかの資料は全部ここに書くつもりです
すでに心が折れそうですが頑張りますhttps://t.co/gh2t0T9pY9
3年間飽きもせずコツコツ記事を更新してきたが,最近ようやく月間収益が安定して1,000円を超えるようになってきた
というわけで,これから技術ブログを始めようと思っている人の参考になるように,これまでのブログ運営で得た知見を紹介していく
結論はこれ
それではいってみよう
※Googleアドセンスの規約で「ブログの具体的な収益などの情報を公開すること」が禁止されているので,適当にぼかして説明していく
このブログの紹介
現在のブログの状況はこんな感じ
ブログタイトル | mtk_birdman's blog |
運用歴 | 2019年8月開始(3年1か月) |
記事数 | 172 |
月間PV数 | 12,000くらい |
月間収益 | 1,000円強 |
収益化方法 | アドセンス+アフィリエイト |
レンタルサーバー | Conoha Wing(月額493円 ※キャンペーン価格) |
WordPress テーマ | Cocoon(無料) |
ジャンル | 鳥人間,航空工学,CFD,ラジコン,プログラミング,資格 |
更新頻度 | 不定期 |
技術ブログの中でもかなりニッチなジャンルを扱っているブログだと思う
基本的に「何か作ったら記事に残す」というスタンスで不定期に更新をしている
最初の2年間はほとんど広告も貼らずにただ記事を書いているだけだったが,1年前くらいから広告の位置を王道の配置にしてみたり,参考文献の紹介リンクをアフィリエイトに変更するなどして本腰を入れ始めた
さらに,ブログ4年目の更新にあわせてレンタルサーバーをX serverからConoha wingに乗り換えたので,ブログの維持費を大幅に削減することができた(月額1,100円→月額493円)
その甲斐もあって,最近は安定して月間収益がブログ維持費を超えるようになり,このブログを半永久的に運営することが可能になった
収益の出し方
ブログの収益化の方法は,「Googleアドセンス」「アフィリエイト」の2つに分けられる
2つの方法の概要を説明してから,このブログへの適用方法を紹介する
Googleアドセンス
Googleが提供しているサービスで,単にアドセンスと呼ばれることが多い
ブログに貼られているこんな感じの広告のこと↓
ブログに貼った広告がクリックされるとブログの運営者に数十円の広告費が入るシステム
ブログ訪問者それぞれに対して最も興味がありそうなものが表示されるので,何が表示されているかはブログを書いている人にも分からない
ブログにアドセンスを掲載するにはGoogleの審査に合格することが必要になる
アフィリエイト
ブログで特定の商品の宣伝をして,そのブログに貼られたリンク経由で商品が購入されるとブログ運営者に一定の広告費が入るシステム
ブログに貼られているこんな感じの広告のこと↓
対象の商品は幅広く,Amazonや楽天に出品されているものから,脱毛,クレジットカード契約,プログラミングスクールなど,いろいろなものの中から選ぶことができる
広告代理店としてはA8.netやもしもアフィリエイトなどが有名
Googleアドセンスとアフィリエイトの運用方法
このブログの収益に占めるアドセンスとアフィリエイトの割合は,だいたい3:7くらいになっている
特徴の項で詳述するが,技術ブログではGoogleアドセンスはあまりクリックされない
そのため,このブログでは読みやすさの方を優先し,アドセンス広告の数は控えめにしてある
収益のコアはアフィリエイトの方で,下の記事のように自分が使ってよかった技術書のレビューを書くことで商品の宣伝をしている↓
ちなみにこのブログで主に使っているAmazonや楽天のアフィリエイトの報酬は,購入された商品価格の2%に設定されている(渋い)
技術ブログの特徴
1年くらい技術ブログの収益化をやってみて感じた,収益化するうえでの技術ブログのメリットとデメリットを紹介する
まずはメリットから説明していく
メリット① そのジャンルのSEOで覇権をとれる
技術ブログは,いい記事さえ書けば比較的簡単にSEOで上位の表示を獲得することができる
SEOとは,Search Engine Optimizationの略称で,ざっくりいうとGoogleで検索されたときに自分のブログが上位表示されるように駆使するいろいろなテクニックのことである
ブログでは「上位表示される=ブログが読まれる=収益が増える」なので,ブログで儲けるためには自分のブログが上位に表示されるためにSEOを駆使してかなり頑張らないといけない
その点においていえば,技術ブログはそもそも「ネット上にいい感じの技術資料が転がっていないなら自分で作ってしまえ」の精神なので,上位表示を争う競合がおらず,容易にそのジャンルの覇権をとることができる
例えばこのブログでいうと,「excel バージョン管理」「tr797」「航空無線通信士 独学」「xflr5 使い方」「simple法」「古典積層理論」「cloud latex vscode」「openfoam 乱流モデル」「unity フライトシミュレーター」あたりはかなり上位表示されるようになっている
メリット② マーケティングが簡単にできる
技術ブログは,「その技術を習得する前の自分」を読者として想定すれば,特に労力を払うことなくマーケティング的に優れた記事が書ける
ブログを書く上では,ターゲット(誰にブログを読んでもらいたいのか)やベネフィット(自分のブログを読むことで読者にどのような利益をもたらすことができるのか)ということを常に意識しなければいけない
これらはどちらもマーケティング用語だが,技術ブログではそんな難しいことは気にしなくていい
「過去の自分(あるいは同期や後輩)」が「自分のブログを読むだけで最短で過不足なく今の自分がいる位置にたどり着けること」を目標にすれば,簡単にマーケティング的に良い感じの記事を書くことができる
メリット③ 良記事に対して目が肥えている
技術ブログを書くような人間は,同時に技術ブログのヘビーユーザーでもある
これまで数々の技術ブログを見てきたことで,どんな内容の記事であれば「有能個人ブログ」になれるのか,あるいは「内容のうっすいハズレサイト」になってしまうのかを経験的に理解している
ブログに限らず何か新しいことを始めるときには,すでに成功している先駆者の仕事を片っ端から見て自分のセンスを磨くことが重要だが,技術ブロガーはその段階をすでにクリアしている
書いた記事を1日寝かせて自分のブログを読めば,リセットした頭で自分のブログが良記事なのか悪記事なのかを判断できてしまう
メリット④ SNSで宣伝したらすぐに読んでくれる人がいる
TwitterなどのSNSで技術アカウント的な運用をやっていれば,自分が書いたブログを読んでくれる人が少なからずフォロワーにいる
ブログがある程度大きくなって,検索エンジンからの流入が多くなってくればそんなに関係ないが,ブログを始めたばかりの頃の1日数PVしかつかないような時期だと,このSNSの固定読者が非常にありがたい
ブログを投稿してGoogleアドセンスを開き,PVがいつもより多くついているのを見ると,次の記事を書くモチベーションにつながる
メリット⑤ ブログ駆動型学習で自分の学びにもなる
これはどこでも言われていることだが,技術ブログを書くことはむちゃくちゃ書いた本人の学びに繋がる
体感でいうと理解度が強制的に10倍くらいになる
なにせ1行ブログの文章を書くごとに
「あれ?この表現厳密にいうと正しかったっけ?」
「ここの記述どの本の何ページに書いてあったっけ?」
「この数式の理解ってこれであっとる?」
といったような疑問が次から次へと湧いてくる
もちろんこんな疑問を持ったまま記事を投稿するのは気持ち悪くて仕方がないので,ネットで論文を漁ったり,棚から参考書を引っ張り出したり,数式を自分で導出してみたりすることになる
芋づる式に湧いてくる疑問を解決していくうちに,理解度が飛躍的に向上していく
メリット⑥ Googleアドセンスの審査に通りやすい
技術ブログはGoogleアドセンスの審査にも通りやすい
Googleの審査に通るには,いまや星の数ほどあるネットのサイトの中で,自分のブログが広告を貼るに値するものだということを認めてもらう必要がある
初心者ブロガーが最初にぶち当たる難関である
技術ブログは常に世の中にない新しい知見をネットに与え続ける存在なので,上記の点については何の問題もない
筆者もブログをはじめて1か月ちょっとでGoogleの審査に合格した
Google先生が広告をつけるに値するブログだと認めてくれた pic.twitter.com/fJgHYpD3tK
— いーそー (@mtk_birdman) October 6, 2019
次にデメリットについて説明する
デメリット① 記事を1つ書くのにむちゃくちゃ時間がかかる
基本的に技術ブログは「自分が作ったものについての備忘録記事」か「自分が勉強したものについての勉強ノート記事」に大別される
技術ブログのメインはあくまでも「技術」で「ブログ」はその副産物なので,1記事書くのにとんでもない時間がかかる
自分が手を動かして何かをした時間とそれをブログに残すのに必要な時間はだいたい同じになると思ってもらっていい
1週間かけて書いたプログラムについてのブログを書くには1週間かかるし,3か月かけて勉強したことについてブログにまとめようと思えば3か月はかかる
ちなみにこのブログで一番の大作は「大学院生のための数値流体力学」で,記事群を書きあげるのに200時間近くかかっている
ブログの収益はほぼPV数に比例し,PV数は記事数に比例することを考えると,1記事あたりの執筆時間が長いのはデメリットになってしまう
他の人と同じくらいの記事数を書き上げるには,より多くの時間を費やす必要がある
デメリット② アドセンスのPV単価が低い
技術ブログはGoogleアドセンスのPV単価が低い
もう少し詳しく言うと,広告のクリック率がすこぶる低い
技術ブログにアクセスする人は,何かの作業をするうえで発生した分からないことを調べに来ているのであって,休日の朝にベッドの中でスマホを見ながらアクセスしているわけではない
広告のクリック率が低いのも当然である
一般的なGoogleアドセンスのPV単価は0.2円~0.5円くらいだといわれているが,このブログのPV単価はその10分の1くらいしかない
PV単価が低い技術ブログで,他のブログを運営している人と同じくらいの収益を出すためには,より多くのPVを稼ぐ必要がある
デメリット③ 読者のボリュームが小さい
ニッチな技術ブログになればなるほど,それを読む可能性のある潜在的な人口が少なくなっていく
メリットとして紹介した競合ブログがいないということを裏返すと,そのジャンルに参入する旨みが少ないということになる
潜在的な読者が少ないジャンルを扱っている技術ブログで,メジャーなジャンルを扱っている人と同じくらいの収益を出すためには,そのジャンルで覇権を取ってより高いシェアを獲得する必要がある
どんな記事を書けばいいのか
自分が好きなジャンルの技術ブログで覇権を取るための記事選定のコツはこれ
これに尽きる
自分が手を動かして何かを作るときに,わかりやすい有能ブログを見つけた場合は,そのテーマについてのブログはもう必要ないので書かない
逆に,いまいちわかりやすいサイトがなくて苦労したり,自分でオリジナルのものを作ったときはブログを書くチャンスである
具体的にはこんなシチュエーションがおすすめ
- 自分が作ったものの紹介
- 初心者向けの記事と玄人の備忘録の中間の記事
- 英語でしか書かれていないものの日本語版
- 既存の複数記事にまたがっている内容
- 超特化したマニュアル
- 元初心者が書く初心者向けの記事
例を挙げながら説明していく
自分が作ったものの紹介
王道の技術ブログ
このブログで代表的なのはこれ
自分が作ったものをただ単に紹介するだけでなく,その過程で参考にした書籍やサイト,製作過程などを詳しくまとめておくとポイントが高い
ブログを見た人が自分と全く同じものを作れるようになることが目標
作業中の写真は作業中にしか取れないので,ブログの記事を書くことを想定しながら作業中に写真を撮りまくっておくことがコツ
初心者向けの記事と玄人の備忘録の中間の記事
勉強ノート的な技術ブログ
このブログで代表的なのはこれ
ネットでCFD(数値流体力学)についてググっても,初心者向けの超ざっくりした記事かガチの論文しか出てこない
この空白を埋めることが目標
大学院で数値流体力学を専攻したので,自分の理解度の確認と後輩への引継ぎ資料を兼ねて執筆した
やはり需要が大きいのか,このブログでも上位のPV数を稼いでいる
英語でしか書かれていないものの日本語版
英語ができる人はぜひやってほしい記事
このブログで代表的なのはこれ
どちらも海外のソフトウェアで日本語のドキュメントが存在しない
公式ドキュメントに目を通すことで自分の理解もさらに深まるので一石二鳥
記事内で関連する公式ドキュメントのリンクを貼ってあげると親切
既存の複数記事にまたがっている内容
ネットの海に漂っている記事を集めて再構成する記事
このブログで代表的なのはこれ
ExcelやPythonなどの広く普及している言語は検索して出てくる記事が細分化されすぎてしまっていて,自分がやりたいことを実現するためには複数記事を参照することが多い
せっかくいろんな記事から必要な情報をかき集めたのなら,次の人のために残しておいてあげればいい
ググラビリティの高い人はあなたが思っているよりかなり少ないので,このような記事の需要は大きい
超特化したマニュアル
ソフトウェアのインストールや何かしらのセットアップについての記事
このブログで代表的なのはこれ
だいたいこの手の記事は,記事の中で「Windowsの人はこちら」「Macの人はこちら」と無駄に分岐させてくる
Windowsの人はMacのやり方なんか知ったこっちゃないので,Windowsのやり方だけが書かれたブログの方を好む
自分が何かしらの環境を構築するときは記事を書くチャンスなので,ブログの記事を書くことを想定しながら作業中に写真を撮りまくっておくと良い
画面が遷移するたびにスクショを取って,マニュアルの手順を細分化しまくろう
元初心者が書く初心者向けの記事
「自分みたいなレベルの人間が書いた記事なんて誰も読まない」はブログに関する最大の誤解
むしろ初心者に毛が生えたレベルの人間が書く記事が初心者にとって一番わかりやすい記事になる
その分野の最先端を走る大学の教授の講義で聞いた説明よりも,同じ講義を受けたばかりの同級生の説明の方が分かりやすかった経験はないだろうか
初心者から一歩踏み出した瞬間はブログを書く最大のチャンスであり,そこで尻込みするのは最悪の機会損失である(ブログ駆動型学習の機会も逸している)
このブログで代表的なのはこれ
たった3か月勉強しただけのほぼ素人が書いた記事が「イラスト 独学」という強豪ひしめく検索ワードでまあまあ上位に表示されている
元初心者が書く記事の需要の大きさを示している
おわりに
技術ブログを書き始めて早3年,月間収益が1,000円を超えるようになったので、これまでに感じた技術ブログのメリット/デメリットや自分なりのコツについて紹介した
筆者が好きな言葉に
私が彼方を見渡せたのだとしたら、それはひとえに巨人の肩の上に乗っていたからです。
ニュートン (シャルトルのベルナール)
というものがある
自分が巨人の肩に上っていく過程で,これまでの先人たちが残してくれた遺産を使わせてもらったのなら,後に続く同志たちのために,自分が登ってきた道のりを整備して残しておくのが「感謝」なんじゃないかと思っている
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