本記事では、自家用操縦士(上級滑空機)を目指す学習者向けに、航空法体系の中に散在して記載されている操縦練習についての概要を整理する。
はじめに
自家用操縦士(上滑)のライセンス取得を目標として、操縦練習についての概要を説明する。
なお、この記事の内容は筆者がAIM-J、航空法、航空法施行規則などをもとにまとめたものである
記述の参考とした文献を文末に記しているので、より詳細な記述や原文を確認したい場合はそちらを参照のこと
この記事では、自家用操縦士(上級滑空機)の操縦練習について、以下の流れで説明する
- 操縦練習許可
- 92条但し書き申請
- 技能証明の申請要件
- 年齢要件
- 飛行経歴
- 学科試験
- 実地試験
- 指定養成
- 単独飛行
- 滑空機乗組員搭乗日誌
それではいってみよう
操縱練習許可

まずは操縦練習許可を取得しよう
航空法28条より、技能証明を有しない者が航空機に乗り組んで操縦を行うことは、原則として認められていない。
(業務範囲)
第二十八条別表の資格の欄に掲げる資格の技能証明(航空機に乗り組んでその運航を行う者にあつては、同表の資格の欄に掲げる資格の技能証明及び第三十一条第一項の航空身体検査証明)を有する者でなければ、同表の業務範囲の欄に掲げる行為を行つてはならない。ただし、定期運送用操縦士、事業用操縦士、自家用操縦士、准定期運送用操縦士、一等航空士、二等航空士若しくは航空機関士の資格の技能証明を有する者が受信のみを目的とする無線設備の操作を行う場合又はこれらの技能証明を有する者で電波法第四十条第一項の無線従事者の資格を有するものが、同条第二項の規定に基づき行うことができる無線設備の操作を行う場合は、この限りでない。
2 技能証明につき第二十五条の限定をされた航空従事者は、その限定をされた種類、等級若しくは型式の航空機又は業務の種類についてでなければ、別表の業務範囲の欄に掲げる行為を行つてはならない。
3 前二項の規定は、国土交通省令で定める航空機に乗り組んでその操縦(航空機に乗り組んで行うその機体及び発動機の取扱いを含む。)を行う者及び国土交通大臣の許可を受けて、試験飛行等のため航空機に乗り組んでその運航を行う者については、適用しない。
- 別表に書かれている資格の技能証明を持っていない者は、別表に書かれている業務を行ってはならない。
また、航空機に搭乗して運航を行う者は、その資格の技能証明に加えて、法第31条第1項に基づく航空身体検査証明を持っている必要がある。
ただし、次の場合はこの制限はかからない。- 定期運送用操縦士、事業用操縦士、自家用操縦士、准定期運送用操縦士、一等航空士、二等航空士、航空機関士の技能証明を持つ者が、受信のみを目的として無線設備を操作する場合
- これらの技能証明を持ち、あわせて電波法第40条第1項に基づく無線従事者の資格を持つ者が、同条第二項の規定により操作できる範囲の無線設備を操作する場合
- 技能証明について、法第25条に基づき航空機の種類、等級、型式、または業務の内容に関する限定を受けている航空従事者は、その限定で認められている範囲の航空機や業務についてでなければ、別表に書かれている業務を行ってはならない。
- 次に該当する者については、1および2の制限は適用されない。
- 規則第51条第1号または第2号に定められた航空機に搭乗して、その操縦を行う者(航空機に搭乗して行う機体および発動機の取り扱いを含む)
- 試験飛行などの目的で国土交通大臣の許可を受けて航空機に搭乗し、運航を行う者
この原則に対する例外規定として設けられているのが、航空法35条に基づく操縦練習許可という制度である。
ここでは、航空法等に基づいて、操縦練習許可の制度の概要について説明する。
| 航空法35条 | 概要 |
|---|---|
| 第1項 | 操縦練習の区分と例外適用の条件 |
| 第2項 | 操縦教員の監督 |
| 第3項 | 操縦練習許可の申請手続 |
| 第4項 | 操縦練習許可書の有効期限 |
| 第5項 | 携帯の義務 |
操縦練習の区分と例外適用の条件
航空法35条1項では、操縦練習を次の3つに分けて規定しており、これらの操縦練習を行う場合は、航空法28条に定める 技能証明および有効な航空身体検査証明の保有の義務 が免除されると定めている。
| 区分 | 内容 | 法28条の適用除外の条件 |
|---|---|---|
| 第1号 | 技能証明を有しない者が行う操縦練習 | 国土交通大臣の許可 + 操縦教員の監督が必要 |
| 第2号 | 限定外の航空機で行う操縦練習 | 操縦教員の監督が必要 |
| 第3号 | 等級・型式違いの航空機で行う操縦練習 | 所定の者の監督が必要 |
(航空機の操縦練習)
第三十五条第二十八条第一項及び第二項の規定は、次に掲げる操縦の練習のために行う操縦については、適用しない。
一 前条第二項第一号に掲げる操縦の練習で、当該練習について国土交通大臣の許可を受け、かつ、操縦教員の監督の下に行うもの
二 前条第二項第二号に掲げる操縦の練習で、操縦教員の監督の下に行うもの
三 操縦技能証明及び航空身体検査証明を有する者が当該技能証明について限定をされた種類の航空機のうち当該技能証明について限定をされた等級又は型式以外の等級又は型式のものに乗り組んで行う操縦の練習で、機長として当該航空機を操縦することができる技能証明及び航空身体検査証明を有する者の監督(機長として当該航空機を操縦することができる技能証明を有する者の監督を受けることが困難な場合にあつては、機長として当該航空機を操縦することができる知識及び能力を有すると認めて国土交通大臣が指定した者の監督)の下に行うもの
- 法28条1項および2項で定める制限は、次に挙げる操縦の練習を目的として行う操縦には適用されない。
- 法34条2項1号に定める、操縦技能証明を持たない者が航空機に搭乗して行う操縦の練習のうち、その練習について国土交通大臣の許可を受け、かつ、操縦教員の監督の下で行うもの
- 法34条2項2号に定める、操縦技能証明および航空身体検査証明を持つ者が、技能証明で限定されていない種類の航空機に搭乗して行う操縦の練習のうち、操縦教員の監督の下で行うもの
- 操縦技能証明および航空身体検査証明を持つ者が、技能証明で限定されている航空機の種類の範囲内で、限定されていない等級または型式の航空機に搭乗して行う操縦の練習のうち、当該航空機を機長として操縦できる技能証明および航空身体検査証明を持つ者の監督の下で行うもの。
ただし、そのような監督を受けることが困難な場合は、当該航空機を機長として操縦できる知識および能力を有すると認められ、国土交通大臣が指定した者の監督の下で行うもの
自家用操縦士(上級滑空機)を目指す場合は、
- 技能証明を有していない段階で
- 航空機(滑空機)に乗り組んで操縦操作の練習する
ことになるため、操縦練習を行うためには
- 国土交通大臣の許可を得て
- 操縦教員の監督のもとで操縦練習を行う
ことが必要である。
操縦教員の監督
航空法35条2項では、操縦の練習について監督を行う者は 国土交通省令で定められた方法に従って監督を行わなければならない と定めらえれている。
2 前項各号の操縦の練習の監督を行なう者は、当該練習の監督を国土交通省令で定めるところにより行なわなければならない。
- 1.に挙げた操縦の練習について監督を行う者は、規則69条の2で定められた方法に従って監督を行わなければならない。
航空法における操縦練習は、技能証明を有しない者が操縦を行うという性質上、通常の運航よりも高い安全管理水準が要求されており、監督者(操縦教員)による厳格な監督体制が制度化されている。
まず、操縦練習の監督を行う者(いわゆる教官)は、次の要件をすべて満たす必要がある。
| 要件区分 | 内容 |
|---|---|
| 技能証明 | 機長として当該航空機を操縦できる技能証明を有していること |
| 身体要件 | 有効な航空身体検査証明を有していること |
| 教育資格 | 当該航空機の種類に係る操縦教育証明を有していること |
| 最近の飛行経験 | 過去1年以内の操縦教育経験(滑空機:2時間かつ10回以上)を満たしていること |
(計器飛行証明及び操縦教育証明)
第三十四条2 次に掲げる操縦の練習を行う者に対しては、機長としてその使用する航空機を操縦することができる技能証明及び航空身体検査証明を有し、かつ、当該航空機の種類に係る操縦の教育の技能について国土交通大臣の行う操縦教育証明を受けている者(以下「操縦教員」という。)でなければ、操縦の教育を行つてはならない。
一 定期運送用操縦士、事業用操縦士、自家用操縦士又は准定期運送用操縦士の資格についての技能証明(以下「操縦技能証明」という。)を受けていない者が航空機(第二十八条第三項の国土交通省令で定める航空機を除く。次号において同じ。)に乗り組んで行う操縦の練習
二 操縦技能証明及び航空身体検査証明を有する者が当該技能証明について限定をされた種類以外の種類の航空機に乗り組んで行う操縦の練習3 第二十六条第一項、第二十七条、第二十九条及び第三十条の規定は、前二項の計器飛行証明又は操縦教育証明について準用する。
https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC0000000231#Mp-Ch_4-At_34
(最近の飛行経験)
第六十九条航空機乗組員(航空機に乗り組んで航空業務を行なう者をいう。以下同じ。)は、国土交通省令で定めるところにより、一定の期間内における一定の飛行経験がないときは、航空運送事業の用に供する航空機の運航に従事し、又は計器飛行、夜間の飛行若しくは第三十四条第二項の操縦の教育を行つてはならない。
https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC0000000231#Mp-Ch_6-Se_1-At_69
規則第百六十二条
法第六十九条の規定により、法第三十四条第二項の操縦教育を行う操縦者は、操縦の教育を行う日からさかのぼつて一年までの間に、十時間以上の操縦の教育を行つた飛行経験(滑空機にあつては、二時間以上及び十回以上の操縦の教育を行つた滑空の飛行経験)を有しなければ、操縦の教育を行つてはならない。
https://laws.e-gov.go.jp/law/327M50000800056#Mp-Ch_6-At_162
操縦教育証明の要件
操縦教育証明の取得においては、自家用操縦士(上級滑空機)の技能証明よりも高度で実務的な能力が求められる。
航空法施行規則別表第二より、操縦教育証明の取得に必要な飛行経歴は、
操縦者の資格(准定期運送用操縦士の資格を除く。)に係る技能証明及び事業用操縦士の場合の経歴を有すること。
https://laws.e-gov.go.jp/law/327M50000800056#Mpat_2
とされており、事業用操縦士(上級滑空機)の場合の次の飛行経歴を有していることが必要とされている。
| 区分 | 要件 |
|---|---|
| 総滑空時間 | 機長として15時間以上の滑空 |
| 曳航滑空 | 機長として航空機曳航による15回以上の滑空および ウインチ曳航または自動車曳航による15回以上の滑空を含み、 合計75回以上の曳航滑空 |
| 操縦課目 | 機長として失速からの回復の方法を5回以上実施 |
また、教育証明の実地試験においては、自家用操縦士よりもさらに深い知識と経験が問われることになっている。
| 題目 | 番号 | 日付 | 所掌 |
|---|---|---|---|
| 操縦士実地試験実施細則操縦教育証明(滑空機) | 国空航第3037号 | 2022年3月29日 | 国土交通省航空局安全部安全政策課 |
航空法施行規則69条の2より、操縦練習の監督における具体的な指針については以下のように定められている。
- 操縦練習の監督者は、練習開始前に次の事項を必ず確認しなければならない。
- 練習計画の内容・範囲・方法が適切であること
- 練習者が必要な知識・能力を有すること
- 空域の気象が練習に適していること
- 航空機が性能・装備面で適切であること
- 監督者が操縦練習を同乗して監督する場合には、次の態勢を維持しなければならない。
- 操縦を即時に交替できる位置にいること
- 常時、航空機を安全に掌握できる状態にあること
第六十九条の二
法第三十五条第二項に規定する者(以下「操縦練習の監督者」という。)は、法第三十五条第一項各号の操縦の練習を行う者(以下「操縦練習を行う者」という。)がその操縦の練習を開始する前に、次の各号に掲げる事項を確認しなければならない。
一 その練習の計画の内容が適切であること。
二 操縦練習を行う者がその練習を行うのに必要な知識及び能力を有していること。
三 飛行しようとする空域における気象状態がその練習を行うのに適切であること。
四 使用する航空機がその練習を行うのに必要な性能及び装置を有していること。2 操縦練習の監督者は、操縦練習を行う者と航空機に同乗している場合であつて操縦練習を行う者が操縦を行つているときは、その操縦を交替することができる場所に位置しなければならない。
3 操縦練習の監督者は、操縦練習を行う者が、初めてその型式の航空機を使用して、単独飛行による操縦の練習を行おうとするときは、次の各号に掲げる事項を確認しなければ、当該飛行による操縦の練習に係る監督を行つてはならない。
一 操縦練習を行う者が当該飛行による操縦の練習を行うのに必要な経験を有していること。
二 操縦練習を行う者だけで離陸及び着陸をすることができること。4 操縦練習の監督者は、操縦練習生が初めて単独飛行による操縦の練習を行おうとするときは、その練習が次の各号に該当するものでなければ、これを認めてはならない。
一 操縦練習の監督者の同乗による離陸及び着陸に係る操縦の練習を行つた後に引き続いて行われるもの
二 昼間における場周飛行により行われるもの5 操縦練習の監督者は、操縦練習生が初めて出発地点から四十キロメートル以上離れる単独飛行による操縦の練習を行おうとするときは、操縦練習生がその練習を行うのに必要な航法に関する知識を有していることを確認しなければ、当該飛行による操縦の練習に係る監督を行つてはならない。
※ 第3項~第5項は、単独飛行についての規定なので、単独飛行の章で説明する。
操縦練習許可の申請手続
航空法35条3項では、国土交通大臣は、操縦の練習について許可の申請があった場合において、申請者が航空機の操縦の練習を行うために必要な能力を有すると認めたときは、その申請を許可しなければならない、と定めらえれている。
3 国土交通大臣は、第一項第一号の許可の申請があつた場合において、申請者が、航空機の操縦の練習を行うのに必要な能力を有すると認めるときは、これを許可しなければならない。
- 国土交通大臣は、1の最初の項目に該当する操縦の練習について許可の申請があった場合において、申請者が航空機の操縦の練習を行うために必要な能力を有すると認めたときは、その申請を許可しなければならない。
航空法施行規則67条1項より操縦練習許可を受けようとする者は、 航空機操縦練習許可申請書を国土交通大臣に提出する必要がある。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 申請書 | 航空機操縦練習許可申請書(第26号様式) |
| 身体検査 | 航空身体検査指定機関において、申請前1か月以内に受けた身体検査の結果 |
| 添付書類 | 写真2葉、戸籍抄本等または本籍記載の住民票写し |
(航空機の操縦練習)
第六十七条法第三十五条第一項第一号の許可を受けようとする者は、航空機操縦練習許可申請書(航空身体検査指定機関において申請前一月以内に受けた身体検査の結果を記載したもの。第二十六号様式)を国土交通大臣に提出しなければならない。
2 前項の申請書には、写真二葉及び戸籍抄本若しくは戸籍記載事項証明書又は本籍の記載のある住民票の写しを添付しなければならない。
https://laws.e-gov.go.jp/law/327M50000800056#Mp-Ch_4-At_67
2.身体検査の基準等
https://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/pdf/200409/00004487.pdf
(1) 航空機操縦練習許可申請に係る航空身体検査の基準は、規則別表第4に掲げる第2種身体検査基準によるものとし、指定機関等においては、基準に適合するかどうかの審査に際しその検査及び判定の方法は別に定める「航空身体検査マニュアル」(平成 13 年 9 月27 日、国空乗第1571 号航空局長通達)に準拠して行うものとする。
上記に示すとおり、航空機操縦練習許可の申請を行う際には、航空身体検査指定機関で申請前1か月以内に受けた身体検査の結果を記載した 航空機操縦練習許可申請書 を提出する必要がある
操縦練習許可書は有効期限は1年以内であり、更新または再申請の際には申請前1か月以内の身体検査結果が必要となるため、操縦練習を継続する場合には、最低でも1年おきに航空身体検査を受診しなければならない。
操縦練習許可の具体的な申請・運用については、 以下の告示/通達により整理されている。
| 題目 | 番号 | 日付 | 所掌 |
|---|---|---|---|
| 航空機操縦練習許可申請等について | 国空乗第1637号 | 2002年1月15日 | 国土交通省航空局技術部乗員課 |
| 航空機操縦練習許可申請書記入要領 | 国空航第327号 | 2019年6月17日 | 国土交通省航空局安全部運航安全課 |
| 航空機操縦練習許可自己申告確認要領 | 国空航第327号 | 2019年6月17日 | 国土交通省航空局安全部運航安全課 |
| 航空機操縦練習許可申請要領 | 国空航第861号 | 2012年3月30日 | 国土交通省航空局安全部運航安全課 |
非常にややこしいことに、操縦練習許可書の申請時に受けた身体検査は 航空法31条で定めている「航空身体検査証明」とは法制度上は別のもの であり、あくまで「航空機の操縦の練習を行うのに必要な能力」を判定するために操縦練習許可書に付随している資料の一部 という扱いになっている。
そのため、航空法施行規則61条の3に定めている航空身体検査証明の有効期限は、操縦練習許可書に付随する航空身体検査には適用されない。
操縦練習許可書の有効期限
航空法35条4項より、操縦練習許可は、 航空機操縦練習許可書の交付によって行われる。
(航空機の操縦練習)第三十五条
4 第一項第一号の許可は、申請者に航空機操縦練習許可書を交付することによつて行う。
- 1の項目に関する許可は、航空機操縦練習許可書を交付することによって行われる。
航空法施行規則68条より、許可書の様式および有効期間は次のとおりである。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 様式 | 第27号様式 |
| 有効期間 | 1年以内で国土交通大臣が指定する期間 |
第六十八条
法第三十五条第四項の航空機操縦練習許可書の様式は、第二十七号様式のとおりとする。
2 前項の許可書の有効期間は、一年以内において国土交通大臣の指定する期間とする。
携帯の義務
また、航空法第35条第5項より、操縦練習許可を受けた者には、 技能証明取消し等に関する規定(航空法30条)および 証明書携帯義務(航空法67条第1項)が準用される。
そのため、操縦練習生については、技能証明書の携帯義務が操縦練習許可書に準用され、操縦練習中は航空機操縦練習許可書を携帯している必要がある。
(航空従事者の携帯する書類)
第六十七条航空従事者は、その航空業務を行う場合には、技能証明書を携帯しなければならない。
2 航空従事者は、航空機に乗り組んでその航空業務を行う場合には、技能証明書の外、航空身体検査証明書を携帯しなければならない。
https://laws.e-gov.go.jp/law/327M50000800056#Mp-Ch_4-At_67
ちなみに、操縦練習に準用されているのは航空法67条第1項の「技能証明書の携帯義務」のみであり、第2項の「航空身体検査証明書の携帯義務」は適用されていない。
このことからも、操縦練習生が受診している第2種航空身体検査は、航空身体検査証明として扱われていないことがわかる。
操縦練習の申請

操縦練習許可書が届いたら、92条但し書き申請をしてもらおう
操縦練習は、内容や空域によっては、国土交通大臣の許可を受けなければ実施できない飛行に該当する。
ここでは、以下の2つの航空法について説明する
法92条但し書き申請
航空法92条より、
- 航空交通管制区
- 航空交通管制圏
における
- 操縦技能証明を受けていない者が航空機に乗り組んで操縦の練習を行う飛行
- 操縦技能証明を有する者が、当該証明において限定された範囲外の航空機で操縦の練習を行う飛行
- 航空機の姿勢を頻繁に変える飛行や航空交通の安全を妨げるおそれがある飛行
は、原則として禁止されており、同条ただし書に基づく許可を受けた場合に限り実施可能となる。
ここで、航空法施行規則198条の2より、「航空交通の安全を妨げるおそれがある飛行」は
- 航空機の姿勢をひんぱんに変更する飛行
- 失速を伴う飛行
- 航空機の高度を急激に変更する飛行
として定められている。
自家用操縦士(上級滑空機)の取得過程における操縦練習は、
- 操縦技能証明を受けていない者が航空機に乗り組んで操縦の練習を行う
- 操縦練習において「失速を伴う飛行」を実施する
ため、航空交通管制圏等で操縦練習を実施する場合には、92条但し書きに基づく申請が必要となる。
(操縦練習飛行等)
第九十二条 航空機は、航空交通管制区又は航空交通管制圏においては、左に掲げる飛行(曲技飛行等を除く。)を行なつてはならない。ただし、国土交通大臣の許可を受けた場合は、この限りでない。一 操縦技能証明(自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第百七条第五項の規定に基づき定められた自衛隊の使用する航空機に乗り組んで操縦に従事する者の技能に関する基準による操縦技能証明に相当するものを含む。次号において同じ。)を受けていない者が航空機に乗り組んで操縦の練習をする飛行
二 操縦技能証明を有する者が当該操縦技能証明について限定をされた範囲の航空機以外の航空機に乗り組んで操縦の練習をする飛行
三 航空機の姿勢をひんぱんに変更する飛行その他の航空交通の安全を阻害するおそれのある飛行で国土交通省令で定めるもの2 前条第二項の規定は、航空機が前項第三号に掲げる飛行(これに該当する同項第一号又は第二号に掲げる飛行を含む。)を行なおうとする場合に準用する。
https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC0000000231#Mp-Ch_6-Se_1-At_92
- 航空機は、航空交通管制区または航空交通管制圏の中では、次に挙げる種類の飛行(曲技飛行などを除く)を行ってはならない。
ただし、国土交通大臣から事前に許可を受けた場合は、これらの飛行を行うことができる。- 操縦技能証明を持っていない者が、航空機に乗り込んで操縦の練習を行う飛行。
- ここでいう操縦技能証明には、自衛隊法107条5項に基づく自衛隊の航空機に関する技能基準に相当するものも含まれる。
- 操縦技能証明を持っている者が、その技能証明で認められている範囲以外の種類の航空機に乗り込み、操縦の練習を行う飛行。
- 航空機の姿勢を頻繁に変える飛行や、航空交通の安全を妨げるおそれがある飛行のうち、規則198条の2で定められているもの。
- 操縦技能証明を持っていない者が、航空機に乗り込んで操縦の練習を行う飛行。
- 法91条2項の規定(安全確認の義務)は、1.で示した飛行を行おうとする場合にも適用される。
(航空交通の安全を阻害するおそれのある飛行)
第百九十八条の二法第九十二条第一項第三号の国土交通省令で定める航空交通の安全を阻害するおそれのある飛行は、次の各号に掲げる飛行(航行の安全上やむを得ないと認められる事由により行われるものを除く。)とする。
一 航空機の姿勢をひんぱんに変更する飛行
二 失速を伴う飛行
三 航空機の高度を急激に変更する飛行
法92条ただし書の記載事項
航空法施行規則198条の3より、法92条ただし書の許可を受けようとする場合、次の事項を記載した申請書を提出しなければならない。
| 区分 | 記載事項 |
|---|---|
| 1 | 氏名および住所 |
| 2 | 航空機の型式、国籍および登録記号 |
| 3 | 飛行計画の概要(目的、日時、径路、高度) |
| 4 | 操縦練習飛行等の内容、実施日時および場所 |
| 5 | 操縦練習飛行等を行う理由 |
| 6 | 法92条第1項1号または2号の場合: 操縦練習者および監督者の氏名・資格 |
| 7 | 法92条第1項3号飛行の場合: 操縦者の氏名および資格 |
| 8 | 同乗者の氏名および同乗目的 |
(操縦練習飛行等の許可の申請)
第百九十八条の三
法第九十二条第一項ただし書の許可を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を国土交通大臣に提出しなければならない。
一 氏名及び住所
https://laws.e-gov.go.jp/law/327M50000800056#Mp-Ch_6-At_198_3
二 航空機の型式並びに航空機の国籍及び登録記号
三 飛行計画の概要(飛行の目的、日時、径路及び高度を明記すること。)
四 操縦練習飛行等(法第九十二条第一項各号に掲げる飛行をいう。以下同じ。)の内容並びに当該飛行を行う日時及び場所
五 操縦練習飛行等を行う理由
六 法第九十二条第一項第一号又は第二号に掲げる飛行にあつては、操縦の練習を行う者の氏名及び資格並びに操縦の練習の監督を行う者の氏名及び資格
七 法第九十二条第一項第三号に掲げる飛行にあつては、操縦者の氏名及び資格
八 同乗者の氏名及び同乗の目的
法91条但し書き申請
また、航空法91条より、
- 人又は家屋の密集している地域の上空
- 航空交通管制区
- 航空交通管制圏
における
- 宙返り、横転等の曲技飛行
- 航空機の試験を目的とする飛行
- 音速を超える速度で行う飛行
(以下、曲技飛行等)も原則として禁止されており、同条ただし書に基づく許可を受けた場合に限り実施可能となる。
ここで、航空法91条における曲技飛行等の内容は、航空法規則197条の3により
- 宙返り、横転、反転、背面、きりもみ、ヒップストール
- その他、航空機の姿勢又は速度の異常な変化を伴う一連の飛行
と定められている
そのため、操縦練習がきりもみ(スピン)なども含む場合、91条但し書きに基づく申請も必要となる。
法第九十一条 航空機は、左に掲げる空域以外の空域で国土交通省令で定める高さ以上の空域において行う場合であつて、且つ、飛行視程が国土交通省令で定める距離以上ある場合でなければ、宙返り、横転その他の国土交通省令で定める曲技飛行、航空機の試験をする飛行又は国土交通省令で定める著しい高速の飛行(以下「曲技飛行等」という。)を行つてはならない。但し、国土交通大臣の許可を受けた場合は、この限りでない。
一 人又は家屋の密集している地域の上空
二 航空交通管制区
三 航空交通管制圏2 航空機が曲技飛行等を行なおうとするときは、当該航空機の操縦を行なつている者(航空機の操縦の練習をするためその操縦を行なつている場合で、その練習を監督する者が同乗しているときは、その者)は、あらかじめ当該飛行により附近にある他の航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれがないことを確認しなければならない。
- 航空機は、次に挙げる空域以外の空域であって、規則197条で定められた高度以上の空域において行う場合であり、かつ、飛行視程が規則197条の2で定められた距離以上ある場合でなければ、曲技飛行等(宙返り・横転などの曲技飛行、航空機の試験を目的とする飛行、または音速を超える速度で行う飛行)を行ってはならない。
ただし、国土交通大臣から事前に許可を受けた場合は、これらの条件を満たしていなくても曲技飛行等を行うことができる。- 人または家屋が密集している地域の上空
- 航空交通管制区
- 航空交通管制圏
- 航空機が曲技飛行等を行おうとする場合には、その航空機を実際に操縦している者が、あらかじめ、その飛行によって周囲を飛行している他の航空機の航行の安全に悪影響を及ぼすおそれがないことを確認しなければならない。
- その操縦が操縦練習のために行われており、かつ、操縦練習を監督する者が同乗している場合には、その監督を行う者が確認を行う。
規則第百九十七条の三
法第九十一条第一項の国土交通省令で定める曲技飛行は、宙返り、横転、反転、背面、きりもみ、ヒップストールその他航空機の姿勢の急激な変化、航空機の異常な姿勢又は航空機の速度の異常な変化を伴う一連の飛行とする。
法91条ただし書の記載事項
航空法施行規則198条より、法91条ただし書の許可を受けようとする場合、次の事項を記載した申請書を提出しなければならない。
| 区分 | 記載事項 |
|---|---|
| 1 | 氏名・住所 |
| 2 | 航空機の型式、国籍、登録記号 |
| 3 | 飛行計画の概要(目的、日時、径路) |
| 4 | 曲技飛行等の内容、実施日時・場所 |
| 5 | 実施理由 |
| 6 | 操縦者の氏名・資格 |
| 7 | 同乗者の氏名・目的 |
| 8 | その他参考となる情報 |
(曲技飛行等の許可の申請)
第百九十八条法第九十一条第一項ただし書の許可を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を国土交通大臣に提出しなければならない。
一 氏名及び住所
https://laws.e-gov.go.jp/law/327M50000800056#Mp-Ch_6-At_198
二 航空機の型式並びに航空機の国籍及び登録記号
三 飛行計画の概要(飛行の目的、日時及び径路を明記すること。)
四 曲技飛行等の内容並びに当該飛行を行う日時及び場所
五 曲技飛行等を行う理由
六 操縦者の氏名及び資格
七 同乗者の氏名及び同乗の目的
八 その他参考となる事項
- 航空交通管制区/航空交通管制圏で「操縦技能証明を受けていない者が航空機に乗り組んで操縦の練習を行う」「失速を伴う飛行を行う」場合は、航空法92条但し書き申請が必要がある
- 人又は家屋の密集している地域の上空/航空交通管制区/航空交通管制圏で「きりもみ(スピン)などの曲技飛行などを行う」場合は、航空法91条但し書き申請が必要がある
- いずれの申請においても、操縦者の氏名・資格が必要になるため、操縦練習許可書を取得したらそれを管理者に連絡する必要がある
技能証明の申請要件

操縦練習の目標となる技能証明に必要な要件を確認しよう
自家用操縦士(上級滑空機)の技能証明を取得するためには、① 法令で定められた要件を満たしたうえで(法26条)、② 所定の試験に合格すること(法29条)が必要となる。
(技能証明の要件)
第二十六条技能証明は、第二十四条に掲げる資格別及び前条第一項の規定による航空機の種類別に国土交通省令で定める年齢及び飛行経歴その他の経歴を有する者でなければ、受けることができない。
2 航空通信士の資格についての技能証明は、前項の規定によるほか、国土交通省令で定める電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)第四十条第一項の無線従事者の資格について同法第四十一条第一項の免許を受けた者でなければ、受けることができない。
(試験の実施)
第二十九条国土交通大臣は、技能証明を行う場合には、申請者が、その申請に係る資格の技能証明を有する航空従事者として航空業務に従事するのに必要な知識及び能力を有するかどうかを判定するために、試験を行わなければならない。
2 試験は、学科試験及び実地試験とする。
3 学科試験に合格した者でなければ、実地試験を受けることができない。
4 国土交通大臣は、外国政府の授与した航空業務の技能に係る資格証書を有する者について技能証明を行う場合には、前三項の規定にかかわらず、国土交通省令で定めるところにより、試験の全部又は一部を行わないことができる。独立行政法人航空大学校又は国土交通大臣が申請により指定した航空従事者の養成施設の課程を修了した者についても、同様とする。
5 前項の指定の申請の手続、指定の基準その他の指定に関する実施細目は、国土交通省令で定める。
6 国土交通大臣は、第四項の指定を受けた者が前項の国土交通省令の規定に違反したときは、当該指定を受けた者に対し、当該指定に係る業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命じ、六月以内において期間を定めて当該指定に係る業務の全部若しくは一部の停止を命じ、又は当該指定を取り消すことができる。
それでは「年齢要件」「飛行経歴」「学科試験」「実地試験/指定養成」の4つについて順番に説明していく。
年齢要件
航空法26条第1項より、技能証明は、一定の年齢に達していなければ受けることができない資格である。
(技能証明の要件)第二十六条
技能証明は、第二十四条に掲げる資格別及び前条第一項の規定による航空機の種類別に国土交通省令で定める年齢及び飛行経歴その他の経歴を有する者でなければ、受けることができない。
航空法施行規則43条1項より、自家用操縦士の資格のうち、滑空機に係る技能証明については、他の操縦士資格よりも低い年齢が設定されている。
| 資格 | 最低年齢 |
|---|---|
| 自家用操縦士(滑空機) | 16歳 |
| 自家用操縦士(飛行機等) | 17歳 |
| 事業用操縦士 | 18歳 |
| 定期運送用操縦士 | 21歳 |
(技能証明等の要件)
第四十三条技能証明又は法第三十四条第一項の計器飛行証明若しくは同条第二項の操縦教育証明は、自家用操縦士、二等航空士及び航空通信士の資格に係るものにあつては十七歳(自家用操縦士の資格のうち滑空機に係るものにあつては十六歳)、事業用操縦士、准定期運送用操縦士、一等航空士、航空機関士、一等航空運航整備士、二等航空運航整備士及び航空工場整備士の資格に係るものにあつては十八歳、二等航空整備士の資格に係るものにあつては十九歳、一等航空整備士の資格に係るものにあつては二十歳並びに定期運送用操縦士の資格に係るものにあつては二十一歳以上の者であつて、別表第二に掲げる飛行経歴その他の経歴を有する者でなければ受けることができない。
https://laws.e-gov.go.jp/law/327M50000800056#Mp-Ch_4-At_43
飛行経歴等
航空法26条第1項より、技能証明を受けるためには、国土交通省令で定めた飛行経歴その他の経歴を有していることを、適切な方法で証明しなければならない。
(技能証明の要件)第二十六条
技能証明は、第二十四条に掲げる資格別及び前条第一項の規定による航空機の種類別に国土交通省令で定める年齢及び飛行経歴その他の経歴を有する者でなければ、受けることができない。
航空法施行規則43条より、上級滑空機について自家用操縦士の技能証明を受ける場合に求められる飛行経歴要件は、別表第二に基づいて以下のとおり定められている。
| 区分 | 要件内容 |
|---|---|
| 単独操縦による滑空時間 | 曳航滑空を含む単独操縦による滑空を3時間以上行っていること |
| 曳航滑空の回数 | 曳航による滑空を30回以上行っていること |
| 操縦操作の技能 | 失速からの回復操作を実施していること |
(技能証明等の要件)
第四十三条技能証明又は法第三十四条第一項の計器飛行証明若しくは同条第二項の操縦教育証明は、自家用操縦士、二等航空士及び航空通信士の資格に係るものにあつては十七歳(自家用操縦士の資格のうち滑空機に係るものにあつては十六歳)、事業用操縦士、准定期運送用操縦士、一等航空士、航空機関士、一等航空運航整備士、二等航空運航整備士及び航空工場整備士の資格に係るものにあつては十八歳、二等航空整備士の資格に係るものにあつては十九歳、一等航空整備士の資格に係るものにあつては二十歳並びに定期運送用操縦士の資格に係るものにあつては二十一歳以上の者であつて、別表第二に掲げる飛行経歴その他の経歴を有する者でなければ受けることができない。
航空法施行規則44条より、操縦練習の飛行経歴は、操縦練習の監督者によって飛行の都度証明されている必要がある。
| 区分 | 飛行の内容 | 証明者 |
|---|---|---|
| 操縦練習としての飛行 | 教育・訓練目的の飛行 | 操縦練習の監督者 |
| 技能証明取得後の飛行 | 有資格者としての飛行 | 機長本人 |
| その他の飛行 | 上記以外 | 使用者・指導者等 |
(飛行経歴等の証明)
第四十四条第四十二条第四項及び前条第一項の飛行経歴その他の経歴は、次に掲げる方法により証明されたものでなければならない。ただし、法の施行前のものについては、この限りでない。
一 技能証明を有する者のその資格に係る飛行経歴にあつては、一飛行の終了ごとに当該機長が証明をしたもの
二 法第三十五条第一項各号に掲げる操縦の練習のために行う操縦に係る飛行経歴にあつては、そのつどその監督者の証明したもの
三 前二号に掲げるもの以外のものにあつては、そのつどその使用者、指導者その他これに準ずる者の証明したもの
様式や記入要領については滑空機乗組員飛行日誌の章で説明する
学科試験
航空法29条1項および2項より、技能証明を行うにあたり、国土交通大臣は、申請者が当該資格に必要な知識および能力を有するかどうかを判定するため、試験を実施する義務を負う。
航空法29条3項より、学科試験は、技能証明制度における第一段階の判定手続として位置づけられており、実地試験に先行することが法律上明確に定められている。
(試験の実施)第二十九条
国土交通大臣は、技能証明を行う場合には、申請者が、その申請に係る資格の技能証明を有する航空従事者として航空業務に従事するのに必要な知識及び能力を有するかどうかを判定するために、試験を行わなければならない。
2 試験は、学科試験及び実地試験とする。
3 学科試験に合格した者でなければ、実地試験を受けることができない。
航空法施行規則46条より、学科試験で課される科目は、航空法施行規則別表第三により、資格および航空機の種類ごとに区分されている。
自家用操縦士(滑空機)について定められている科目構成は、次のとおりである。
| 科目 | 内容 |
|---|---|
| 航空工学 | ・飛行理論に関する一般知識 ・滑空機の取扱法及び運航制限に関する知識 ・積載及び重量配分の基本原則並びにその飛行に及ぼす影響 |
| 滑空飛行に関する 気象 | ・概要 |
| 空中航法 | ・有視界飛行方式による運航に係る飛行計画の作成に必要な知識 ・運航方式の概要 ・人間の能力及び限界に関する一般知識 |
| 国内航空法規 | ・概要 |
(試験の科目等)
第四十六条法第二十九条第一項(法第二十九条の二第二項、法第三十三条第三項又は法第三十四条第三項において準用する場合を含む。)の試験は、別表第三に掲げる科目について行う。ただし、実地試験の科目のうち、実地試験に使用する航空機の強度、構造及び性能上実施する必要がないと国土交通大臣が認めたものについては、これを行わない。
https://laws.e-gov.go.jp/law/327M50000800056#Mp-Ch_4-At_46
航空法施行規則42条4項より、学科試験には有効期限があり、学科試験合格後は2年以内に技能証明に必要な手続を完了しなければならない。
この期間を経過した場合、合格の効力は失われ、再度の手続が必要となる。
↓関連記事
実地試験
航空法施行規則46条より、実地試験で課される科目は、航空法施行規則別表第三により、資格および航空機の種類ごとに区分されている。
自家用操縦士(上級滑空機)について定められている実地試験科目は、次のとおりである。
| 番号 | 科目 |
|---|---|
| 一 | 事業用操縦士(滑空機)上級滑空機の項の科目(第五号を除く) |
| 二 | 曳航による飛行 |
自家用操縦士(上級滑空機)の実地試験は、事業用操縦士(上級滑空機)の実地試験科目を基礎としつつ、一部を除外した内容で構成されている。
事業用操縦士(上級滑空機)について定められている実地試験科目は、次のとおりである(第五号を除外)。
| 番号 | 科目 |
|---|---|
| 一 | 運航に必要な知識 |
| 二 | 飛行前作業 |
| 三 | 空港等及び場周経路における運航 |
| 四 | 各種離陸及び着陸 |
| 六 | 外部視認目標を利用した飛行を含む空中操作 |
| 七 | ソアリング |
| 八 | 異常時及び緊急時の操作 |
| 九 | 総合能力 |
実地試験の具体的な実施方法・判定基準・評価観点は、国土交通省航空局が告示する「操縦士実地試験実施細則 自家用操縦士(滑空機)」 により定められている。
>国空航第557号 操縦士実地試験実施細則 自家用操縦士(滑空機)
https://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/pdf/201312/00006065.pdf
この実施細則は、試験官が実地試験を行う際の公式な判断基準書であり、受験者の技能はこの細則に基づいて評価される。
指定養成
技能証明の取得には学科試験と実地試験が原則必要であるが、航空法第29条第4項より、国土交通大臣が指定した航空従事者の養成施設の課程を修了した者については、実地試験の全部または一部を行わないことができる制度がある。
(試験の実施)第二十九条
4 国土交通大臣は、外国政府の授与した航空業務の技能に係る資格証書を有する者について技能証明を行う場合には、前三項の規定にかかわらず、国土交通省令で定めるところにより、試験の全部又は一部を行わないことができる。独立行政法人航空大学校又は国土交通大臣が申請により指定した航空従事者の養成施設の課程を修了した者についても、同様とする。
この制度がいわゆる「指定養成」であり、民間の教育機関等が国の養成基準に適合していると認められた場合に認められる仕組みである。
航空法施行規則第50条の2第3項より、指定航空従事者養成施設とは、国土交通大臣が、申請に基づきしていした、航空従事者の養成を行う教育機関である。
航空法施行規則第50条の2第3項および第5項指定航空従事者養成施設の養成課程を修了した場合の効果は次の通りである:
- 当該養成施設の課程が告示等により定める内容に適合していると認められた場合、技能証明の申請において、通常国が実施する実地試験を受けることなく、課程修了による技能審査の合格をもって代えることができる。
- 課程修了後の免除は、修了した日から起算して1年以内に申請しなければならない。
指定養成施設の教育規程等では入所要件が定められている。
例えば、日本滑空協会の指定航空従事者養成施設の入所要件は以下のように示されている。
- 年齢要件
- 入所申込みを行う日までに、満16歳に達している者
- 学科試験合格者であること
- 当該技能証明に係る学科試験に合格している者
- 学科試験合格通知書の有効期限が、技能審査に合格し、修了証明書が国土交通大臣に受理されるまで有効であること
- 飛行経歴の充足
- 上級滑空機による総飛行時間12時間以上であること
- 単独飛行回数28回以上であること
- 単独飛行時間が2時間50分以上であること
- 上記には、空中操作科目20回以上及び失速を含む緊急処置5回以上の訓練を含むこと
- 動力滑空機の飛行経歴を有する場合は、その50%を単独飛行以外の飛行時間に、6時間を限度として充当できること
- 入所審査において、養成期間内に技能審査合格見込みと認められた者
- 飛行経歴を含む書類審査に合格していること
- 学科及び実技を含む入所審査に合格していること
指定養成施設では、 学科教育・実地(飛行)教育 が組織的に実施され、課程修了時に設けられた 技能審査に合格することが修了要件となる。
指定養成施設での技能審査合格は、当該施設の教育規程に基づいて実施される修了判定試験であり、国が実施する通常の実地試験と同等の評価基準をクリアしたと認められることを前提としている。
合格すると、課程の修了証明書が発行され、技能証明申請時に実地試験の免除を受けるための添付書類となる。
第五十条の二
3 法第二十九条第四項の規定により国土交通大臣が指定した航空従事者の養成施設(以下「指定航空従事者養成施設」という。)の課程を修了した者に対する試験については、申請により、国土交通大臣が告示で定めるところに従い、実地試験の全部又は一部を行わない。ただし、当該指定航空従事者養成施設の課程を修了した日から起算して一年(次条第三項第二号の整備の基本技術の科目に係る課程については、二年)を経過した場合は、この限りでない。
5 前二項の規定により申請を行う場合には、指定航空従事者養成施設の管理者の発行する修了証明書(第十九号の三様式)を添付しなければならない。
技能証明までのフロー
以上をまとめると、自家用操縦士(上級滑空機)の技能証明取得までの流れは、実地試験を受験するか否かによって大きく二系統に分かれる。
いずれの場合も、航空法第22条に基づく「技能証明の申請」の前段として学科試験・飛行経歴・実技試験(指定養成)が位置付けられており、技能証明申請時には、この4つすべてを証明する書類を提出する必要がある。
① 学科試験および実地試験を受験する場合
学科試験および実地試験を国土交通大臣が実施するルートで受験する流れは以下の通り。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 学科試験申請 | 技能証明申請書を提出 |
| 学科試験受験 | CBT等により実施 |
| 学科試験合格 | 合格通知書が交付 |
| 飛行経歴 | 別表第二の経歴を充足 |
| 実地試験申請 | 実地試験申請書を提出 |
| 実地試験受験 | 口述・飛行試験 |
| 実地試験合格 | 技能確認完了 |
| 技能証明申請 | 必要書類を添付して申請 |
② 指定養成を利用し、実地試験を免除する場合
国土交通大臣が指定した指定航空従事者養成施設の課程を修了することで実地試験が免除するルートは以下の通り。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 学科試験申請 | 技能証明申請書を提出 |
| 学科試験受験 | CBT等 |
| 学科試験合格 | 合格通知書が交付 |
| 飛行経歴 | 別表第二の経歴を充足 |
| 指定養成施設入所 | 国交大臣指定施設 |
| 課程修了 | 技能審査に合格 |
| 実地試験免除 | 申請により免除 |
| 技能証明申請 | 修了証明書等を添付 |
その他の資格
技能証明(自家用操縦士・上級滑空機)は、航空機を操縦するための中核となる資格であるが、実際に航空業務に従事する段階では、技能証明とは別に必要となる資格や証明が存在する。
これらは、技能証明の申請要件そのものではないが、操縦練習・技能証明取得後の運航において不可欠となる。
以下では、上級滑空機を初めて受験する者が混同しやすい資格を、技能証明との関係が分かる形で整理する。
| 資格・証明 | 操縦練習 | 技能証明取得後 |
|---|---|---|
| 操縦練習許可書 | 必要 | ― |
| 技能証明 | 不要 | 必要 |
| 航空身体検査証明 | 不要※ | 必要 |
| 無線従事者資格 | 運航形態により必要 | 運航形態により必要 |
航空身体検査証明
航空身体検査証明は、操縦者が航空業務に従事するために必要な身体的適性を証明する制度である。
これは技能証明とは独立した制度であり、原則として有効な航空身体検査証明を有していなければ、航空機の操縦に従事することはできない。
操縦練習を実施する場合、航空法35条に基づき国土交通大臣の許可を受け、かつ同条に定める条件の下で行われる操縦の練習については、航空法28条第1項および第2項に基づく技能証明および航空身体検査証明の保有義務は、法定要件としては適用されない。
ただし、技能証明を取得すると、その時点でこの適用除外が解除され、航空法28条に基づく航空身体検査証明が必要となる。
無線従事者の資格
航空機の運航において航空通信を行う場合、電波法に基づく無線従事者の資格が関係する。
航空法上、無線従事者資格が技能証明の取得要件として明示的に要求されているのは、航空通信士の資格に限られる(法26条2項)。
一方、航空法第28条では、航空従事者が行える業務範囲を定める一方で、
については、無線従事者の資格を前提として認める構造となっている。
↓関連記事
- 技能証明の申請のためには以下が必要
- 年齢の要件
- 飛行経歴の要件
- 学科試験の合格
- 実技試験の合格/指定養成の修了
- 申請時には必須ではないが、技能証明取得後のフライトには以下も必要
- 航空身体検査証明
- 無線従事者の資格
単独飛行

単独飛行を目指して練習を重ねよう
単独飛行とは、操縦練習生が操縦教員を同乗させることなく航空機を操縦して行う操縦の練習をいう。
自家用操縦士(上級滑空機)の技能証明取得過程において、単独飛行は必須の訓練段階であり、 航空法および航空局通達により、実施要件・気象条件・教官の監督方法・練習生の知識技能が詳細に定められている。
>空乗第2103号 単独飛行に係る安全基準(滑空機)
https://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/pdf/201006/00005262.pdf
単独飛行の要件
単独飛行は、操縦練習の一環として実施されるが、その実施に当たっては操縦練習生の知識・技能・経験、および 教官による確認・監督体制について、航空法・航空法施行規則および航空局通達により段階的かつ具体的に要件が定められている。
航空法施行規則69条の2第3項より、操縦練習生が初めて当該型式の航空機で単独飛行を行う場合、操縦練習の監督者(操縦教員)は、次の事項を確認しなければならない。
| 確認区分 | 内容 |
|---|---|
| 経験 | 当該単独飛行を行うのに必要な経験を有していること |
| 操作能力 | 練習生単独で離陸および着陸を行うことができること |
第六十九条の二
3 操縦練習の監督者は、操縦練習を行う者が、初めてその型式の航空機を使用して、単独飛行による操縦の練習を行おうとするときは、次の各号に掲げる事項を確認しなければ、当該飛行による操縦の練習に係る監督を行つてはならない。
一 操縦練習を行う者が当該飛行による操縦の練習を行うのに必要な経験を有していること。
https://laws.e-gov.go.jp/law/327M50000800056/20221103_504M60000800077#Mp-Ch_4-At_69_2
二 操縦練習を行う者だけで離陸及び着陸をすることができること。
また、これらの具体的内容については、航空局通達 空乗第2103号 により「知識」「技能」「経験」の3つの観点からさらに具体的に定められている。
1.知識に関する要件
教官は、練習生が次の事項について必要な知識を有していると認めなければ、単独飛行を行わせてはならない。
| 分野 | 内容 |
|---|---|
| 航空機 | 使用機の運用限界、重量・重心位置 |
| 空域 | 飛行場周辺の地形・障害物、空域の把握 |
| 飛行方式 | 場周経路、着陸進入要領、位置不明時の方式 |
| 緊急対応 | 索切れ等の緊急時の不時着場 |
| 通信 | 無線設備故障時の方式 |
| 規則 | 有視界飛行方式の飛行規則、進路権、最低安全高度 |
| 見張り | 具体的な見張りの方法 |
| 特記事項 | 失速科目実施時の人家密集地回避等 |
2. 技能に関する要件
教官は、練習生が次の技能を確実に実施できると認めなければ、単独飛行を行わせてはならない。
| 区分 | 技能内容 |
|---|---|
| 離陸関連 | 曳航・離陸・離脱操作 |
| 緊急操作 | 索切れ等の緊急時操作 |
| 通信 | 無線通信機の確実な操作 |
| 空域運用 | 使用空域と利用方法を理解した飛行 |
| 管制対応 | 管制機関等との通信 |
3. 経験に関する要件
教官は、練習生が次の経験を有していると認めなければ、単独飛行を行わせてはならない。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 進入・着陸 | ダイブブレーキ又はスポイラーを使用しない進入・着陸 |
| 気象 | 横風での着陸 |
| 飛行場外 | 不整地着陸要領 |
| 基本操作 | 失速からの回復操作 |
ソロチェック
ソロチェックとは、法令及び航空局通達に基づき、操縦練習生が単独飛行を行うに当たり、操縦教員が技能、知識、経験及び飛行条件等を確認する一連の確認及び認定行為を指す。
航空法施行規則69条の2第4項では初回単独飛行(ファーストソロ)について明確な法定要件が定められており、これに加えて航空局通達 空乗第2103号では、3回目までの単独飛行および4回目以降の単独飛行について、段階的な安全確保のための運用基準が示されている。
| 区分 | 主な特徴 |
|---|---|
| ファーストソロ | ・担当教官を含む原則2名以上の教官でソロチェックを実施すること (主席飛行教官を含むことが望ましい) ・緊急時の処置(ダミーブレイク)を含む離着陸の技能認定後、引き続いて実施すること |
| ~3回目まで | ・次の単独飛行までに教官同乗による飛行を実施すること (1回ごとに教官によるソロチェックが必要) |
| 4回目以降 | ・連続して1週間以上飛行していない場合は、単独飛行前に教官による技能認定を再実施すること |
第六十九条の二
4 操縦練習の監督者は、操縦練習生が初めて単独飛行による操縦の練習を行おうとするときは、その練習が次の各号に該当するものでなければ、これを認めてはならない。
一 操縦練習の監督者の同乗による離陸及び着陸に係る操縦の練習を行つた後に引き続いて行われるもの
二 昼間における場周飛行により行われるもの
また、空乘第2051号 滑空機乗組員飛行日誌の様式及び記入要領 より、単独飛行の技量認定を行った際は滑空機乗組員飛行日誌に記載することが定められている。
単独飛行の飛行前確認
単独飛行を実施するに当たっては、操縦練習生の自律的な確認及びおよび操縦練習の監督者(操縦教員)による事前確認および指示が不可欠である。
これらの飛行前確認は、航空局通達 空乗第2103号により体系的に定められており、単独飛行の安全確保の中核をなす要素と位置づけられている。
単独飛行を行う練習生は、飛行前に次の事項を自ら確認し、教官は、その理解を確認しなければならない。
- 練習生の健康状態の確認
- 機材・施設の確認
- 気象・航空情報の確認
- 飛行方式
これらの確認を適切に行うことにより、単独飛行は初めて制度上も運用上も認められるものとなる 。
1. 健康状態
| 確認区分 | 内容 |
|---|---|
| 健康状態 | 睡眠不足、風邪、下痢等の体調不良がないこと |
| 心身状態 | 集中力を欠く要因がないこと |
2. 使用機材・施設の確認
| 確認区分 | 内容 |
|---|---|
| 航空機 | 使用機の整備状況が適切であること |
| 曳航装置 | ウインチ、曳航索等に不具合がないこと |
3. 気象および航空情報の確認
| 確認区分 | 内容 |
|---|---|
| 気象 | 現況および予報が単独飛行に適していること |
| 航空情報 | NOTAM等の航空情報を把握していること |
航空局の通達では、単独飛行の気象条件として以下の制限気象を定めている。
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 地上・飛行視程 | 5,000m以上 |
| 雲高 | 400m以上 (降水現象がなく、300m以下に雲がないこと) |
| 正対風 | 5m以下 |
| 横風分力 | 3m以下 |
| 補足事項 | 雲量が2/8以上の場合、雲上飛行は行わない 日出没時で操縦に支障をきたす日光照射がある場合、離着陸は行わない |
4. 飛行方式の設定
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 場周経路 | 離脱および進入方式 |
| 位置不明時 | 位置不明時の飛行方式 |
| 緊急時 | 緊急事態発生時の飛行方式 |
| 飛行計画 | 練習空域および飛行経路 |
| 課目 | 実施する課目および要領 |
| 通信 | 管制機関・フライトサービス局等のモニター |
| 見張り | 見張りの徹底 |
| 気象 | 気象変化に伴う飛行中断等 |
| 交通 | 通過機等の情報に基づく飛行方法の変更 |
| その他 | 安全上必要な事項 |
- 単独飛行は必須の訓練段階であり、実施要件・気象条件・教官の監督方法・練習生の知識技能が詳細に定められている。
- ファーストソロの技量確認は担当教官を含む原則2名以上の教官で実施する
- ファーストソロは緊急時の処置(ダミーブレイク)を含む離着陸の技能認定後に引き続いて実施する
- 3回目の単独飛行までは1回ごとに教官同乗による飛行を実施する
- 4回目以降の単独飛行において、連続して1週間以上飛行していない場合は、単独飛行前に教官による技能認定を再実施する
- 単独飛行の際は、練習生自ら次の事項を確認し、教官はその理解を確認する
- 健康状態の確認
- 機材・施設の確認
- 気象・航空情報の確認
- 飛行方式の確認
- 教官に単独飛行の技量を確認してもらったら、滑空機乗組員飛行日誌に記載する。
滑空機乗組員飛行日誌
航空法施行規則第44条より、技能証明の申請に必要な飛行経歴その他の経歴は、一定の方法により証明されたものでなければならないと定められている。
| 区分 | 飛行の内容 | 証明者 |
|---|---|---|
| 技能証明取得後の飛行 | 有資格者としての飛行 | 機長本人 |
| 操縦練習としての飛行 | 教育・訓練目的の飛行 | 操縦練習の監督者 |
| その他の飛行 | 上記以外 | 使用者・指導者等 |
このうち、自家用操縦士(上級滑空機)の訓練段階では、ほぼすべての飛行が「操縦練習としての飛行」に該当するため、操縦練習の都度、操縦教員または監督者による証明を受ける必要がある。
(飛行経歴等の証明)
第四十四条第四十二条第四項及び前条第一項の飛行経歴その他の経歴は、次に掲げる方法により証明されたものでなければならない。ただし、法の施行前のものについては、この限りでない。
一 技能証明を有する者のその資格に係る飛行経歴にあつては、一飛行の終了ごとに当該機長が証明をしたもの
二 法第三十五条第一項各号に掲げる操縦の練習のために行う操縦に係る飛行経歴にあつては、そのつどその監督者の証明したもの
三 前二号に掲げるもの以外のものにあつては、そのつどその使用者、指導者その他これに準ずる者の証明したもの
飛行経歴等の証明
滑空機乗組員飛行日誌は、操縦練習および単独飛行の実績を法令に基づき証明するための標準的な記録である。
指定養成施設では、入所要件として一定の飛行経歴が求められており、その確認は滑空機乗組員飛行日誌により行われる。
| 要件区分 | 内容 |
|---|---|
| 総飛行時間 | 12時間以上 |
| 単独飛行 | 28回以上、2時間50分以上 |
| 訓練内容 | 空中操作20回、失速を含む緊急処置5回 |
| 他機種経歴 | 動力滑空機経歴の一部充当可(上限あり) |
同様に、実地試験申請時には、「航空経歴書」に加えて、所定の経歴を含む滑空機乗組員飛行日誌の写しを添付資料として提出することが求められる。
| 資格 | 必要な経歴 |
|---|---|
| 自家用操縦士(上級滑空機) | 30回以上の滑空実績 |
| 動力滑空機 | 15時間以上 |
これらはすべて、滑空機乗組員飛行日誌に正確に記載・証明されていなければ要件として認められない。
>Ⅲ 申請書類 技能証明申請
https://www.mlit.go.jp/common/001413736.pdf
滑空機乗組員飛行日誌の様式
航空法施行規則第44条に基づいた飛行経歴の標準様式および記入要領は、空乗第2051号(平成9年6月9日)通達により詳細に定められている。
航空法施行規則第44条に基づき、滑空機乗組員の飛行経歴を適正に管理し証明する ため、「滑空機乗組員飛行日誌」の標準様式を定めたので、クラブ団体等で独自に飛行 日誌を作成する場合は以下の様式に従って作成すること。
https://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/pdf/201006/00005255.pdf
>空乘第2051号 滑空機乗組員飛行日誌の様式及び記入要領
https://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/pdf/201006/00005255.pdf
日誌に必ず含めるべき基本情報
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 個人情報 | 氏名、生年月日、住所、所属団体 |
| 許可・資格 | 操縦練習許可番号、既得技能証明 |
| 単独飛行 | 技量認定、最初の単独飛行の証明 |
各飛行ごとに記載する主な項目
- 飛行年月日
- 滑空機の型式
- 滑空機の登録記号
- 離着陸の区間
- 離陸時刻、着陸時刻
- 着陸回数
- 滑空機による時間
- ア. 飛行時間
- イ. 単独又は機長時間
- a. ウィンチ(自動車曳航)による滑空時間
- b. 飛行機えい航による滑空時間
- ウ. 同乗教育時間
- a. ウィンチ(自動車曳航)による滑空時間
- b. 飛行機えい航による滑空時間
- 動力滑空機による時間
- ア. 飛行時間
- イ. 単独又は機長時間
- a. 動力による飛行時間
- b. 滑空による飛行時間
- ウ. 同乗教育時間
- 野外飛行時間
- a. 動力による飛行時間
- b. 滑空による飛行時間
- 操縦教員としての飛行時間
- 補足事項
- 機長または操縦教員の署名
- 操縱教育証明番号
記入および証明上の注意点
以下の要件を満たしていない場合、技能証明申請時に飛行経歴として認められない可能性があるため、日常的な管理が極めて重要である。
- 記入は青または黒インクを使用し、修正液は使用しない
- 各飛行終了後、速やかに記載・証明を受ける
- 単独飛行と同乗教育の区分を明確にする
- 教官署名・教育証明番号の記載漏れは、後日無効とされるおそれがある
- 滑空機乗組員飛行日誌は、操縦練習および単独飛行の実績を法的に証明するための記録である
- 必要な要件を満たしていない場合、技能証明申請時に飛行経歴として認められない可能性があるため、日常的な管理が極めて重要である
おわりに
本記事では、自家用操縦士(上級滑空機)を目指す学習者向けに、航空法体系の中に散在して記載されている操縦練習についての概要を整理した。
↓関連記事
参考文献/関連法規
航空法
| 条番号 | タイトル | 概要 |
|---|---|---|
| 第二条 | 定義 | 航空機、航空業務、航空従事者、空港、無人航空機など本法で用いる主要用語を定義している。 |
| 第二十二条 | 航空従事者技能証明 | 航空業務を行おうとする者に対し、申請により航空従事者技能証明を行うことを定めている。 |
| 第二十四条 | 資格 | 航空従事者技能証明の資格区分を列挙している。 |
| 第二十五条 | 技能証明の限定 | 技能証明について航空機の種類・等級・型式や業務内容の限定を行うことを定めている。 |
| 第二十六条 | 技能証明の要件 | 技能証明を受けるために必要な年齢、飛行経歴等の要件を定めている。 |
| 第二十七条 | 欠格事由等 | 技能証明の申請ができない者や申請不受理となる場合を定めている。 |
| 第二十八条 | 業務範囲 | 技能証明の資格・限定に応じて行うことができる航空業務の範囲を定めている。 |
| 第二十九条 | 試験の実施 | 技能証明に必要な学科試験および実地試験の実施方法を定めている。 |
| 第二十九条の二 | 技能証明の限定の変更 | 技能証明の限定について、申請により変更できることを定めている。 |
| 第三十条 | 技能証明の取消等 | 法令違反等があった場合の技能証明の取消しや業務停止を定めている。 |
| 第三十一条 | 航空身体検査証明 | 航空機に乗り組んで運航を行う者に対する航空身体検査証明について定めている。 |
| 第三十二条 | 航空身体検査証明の 有効期間 | 航空身体検査証明の有効期間を資格・年齢等に応じて定めることとしている。 |
| 第三十三条 | 航空英語能力証明 | 一定の操縦資格者に対し航空英語能力証明の受検義務等を定めている。 |
| 第三十四条 | 計器飛行証明及び 操縦教育証明 | 計器飛行等および操縦教育を行うために必要な証明を定めている。 |
| 第三十五条 | 航空機の操縦練習 | 操縦練習を行う場合の許可要件および監督体制を定めている。 |
| 第三十五条の二 | 計器飛行等の練習 | 計器飛行等の練習における監督者の要件等を定めている。 |
| 第三十六条 | 国土交通省令への委任 | 技能証明等に関する細目を国土交通省令に委任している。 |
| 第四十条 | 空港の告示等 | 空港の位置や区域等について告示・公表する義務を定めている。 |
| 第四十一条 | 空港等の工事の完成 | 空港等の工事完成期限および期限変更の手続きを定めている。 |
| 第六十五条 | 航空機に 乗り組ませなければならない者 | 航空機に必ず乗り組ませるべき航空従事者を定めている。 |
| 第六十六条 | ― | 特定の航空機に追加して乗り組ませるべき航空従事者を定めている。 |
| 第六十七条 | 航空従事者の 携帯する書類 | 航空業務を行う際に携帯すべき書類を定めている。 |
| 第六十九条 | 最近の飛行経験 | 一定の飛行経験がなければ特定の運航等ができないことを定めている。 |
| 第七十一条 | 身体障害 | 身体検査基準に適合しなくなった場合の業務制限を定めている。 |
| 第七十一条の三 | 特定操縦技能の審査等 | 特定操縦技能について定期的な審査を受ける義務等を定めている。 |
| 第七十一条の四 | ― | 特定操縦技能審査未了者による操縦練習の例外を定めている。 |
| 第七十一条の五 | 技能発揮訓練 | 管制圏空港等での操縦等に必要な技能発揮訓練を定めている。 |
| 第七十八条 | ― | 運航管理者技能検定の要件および実施を定めている。 |
| 第九十一条 | 曲技飛行等 | 曲技飛行等を行うことができる空域・条件および許可を定めている。 |
| 第九十二条 | 操縦練習飛行等 | 管制空域における操縦練習飛行等の制限と許可を定めている。 |
| 第九十五条の三 | ― | 民間訓練試験空域での訓練試験飛行に関する承認手続きを定めている。 |
航空法施行規則
| 条番号 | タイトル | 概要 |
|---|---|---|
| 第十六条の四 | 耐空検査員 | 耐空検査員の認定を受けるために必要な年齢、保有資格および実務経験等の要件を定めている。 |
| 第四十二条 | 技能証明の申請 | 技能証明の申請手続、提出書類および学科試験・実地試験申請時の要件を定めている。 |
| 第四十三条 | 技能証明等の要件 | 技能証明、計器飛行証明および操縦教育証明を受けるための年齢要件ならびに必要な無線資格を定めている。 |
| 第四十四条 | 飛行経歴等の証明 | 技能証明等に必要な飛行経歴や操縦経験をどのように証明するかを定めている。 |
| 第四十五条 | 試験の期日等の 公示及び通知 | 技能証明等の試験の期日・場所の公示方法および申請者への通知事項を定めている。 |
| 第四十六条 | 試験の科目等 | 技能証明等の試験科目を別表第三に基づいて実施することを定めている。 |
| 第四十六条の二 | ― | 実地試験の全部または一部を模擬飛行装置または飛行訓練装置で実施できることを定めている。 |
| 第四十七条 | 学科試験の合格の通知 | 学科試験の合格または一部科目合格について文書で通知することを定めている。 |
| 第四十八条 | 試験の免除 | 同一資格等を申請する場合における学科試験免除の条件を定めている。 |
| 第四十八条の二 | ― | 学科試験の一部科目合格者に対する次回学科試験免除の範囲と期間を定めている。 |
| 第四十九条 | ― | 他資格取得や限定変更等において既得試験科目を免除できることを定めている。 |
| 第五十条 | ― | 外国政府が授与した資格証書を有する者に対する試験免除等の取扱いを定めている。 |
| 第五十条の二 | ― | 航空大学校および指定養成施設修了者に対する試験免除の条件を定めている。 |
| 第五十条の三 | 航空従事者の養成施設の 指定の申請 | 航空従事者養成施設の指定申請手続および申請書類の内容を定めている。 |
| 第五十条の四 | 航空従事者の養成施設の 指定の基準 | 航空従事者養成施設の指定基準として設置者、教官、設備等の要件を定めている。 |
| 第五十条の六 | 航空従事者の養成施設の 指定 | 航空従事者養成施設の指定方法および課程限定について定めている。 |
| 第五十条の十一 | 修了証明書の交付の制限 | 指定航空従事者養成の修了証明書の交付について定めている。 |
| 第五十一条 | 航空機の指定 | 法第二十八条第三項に基づき指定される航空機の範囲を定めている。 |
| 第五十一条の二 | ― | 法第二十八条第三項の許可申請書に記載すべき事項を定めている。 |
| 第五十八条 | 技能証明の取消等の通知 | 技能証明の取消等の処分を行った場合の当事者への通知義務を定めている。 |
| 第六十一条 | 航空身体検査証明の申請 | 航空身体検査証明を申請する際の申請書様式、提出先および添付すべき検査結果の記録について定めている。 |
| 第六十一条の二 | 身体検査基準及び 航空身体検査証明書 | 資格ごとの身体検査基準、航空身体検査証明書の種類、基準不適合者の取扱いおよび条件付与について定めている。 |
| 第六十一条の三 | 航空身体検査証明の有効期間 | 資格ごとの航空身体検査証明の有効期限について定めている。 |
| 第六十一条の五 | 指定航空身体検査医 | 指定航空身体検査医の指定申請手続、指定要件、指定方法および公示について定めている。 |
| 第六十二条 | 指定の失効及び取消し | 指定航空身体検査医の指定が失効する事由および指定取消しの要件並びに公示について定めている。 |
| 第六十二条の三 | 指定の失効及び取消し | 航空身体検査指定機関の指定が失効又は取消しとなる事由および公示について定めている。 |
| 第六十七条 | 航空機の操縦練習 | 航空機操縦練習許可の申請書様式および添付書類について定めている。 |
| 第六十八条 | ― | 航空機操縦練習許可書の様式およびその有効期間について定めている。 |
| 第六十九条 | ― | 操縦練習監督者の指定方法および指定書の交付について定めている。 |
| 第六十九条の二 | ― | 操縦練習監督者が操縦練習を監督する際に確認すべき事項および単独飛行時の要件を定めている。 |
| 第七十条 | ― | 計器飛行等の練習の監督者に関する確認事項および同乗義務について定めている。 |
| 第七十二条 | 技能証明書等の返納 | 技能証明書、航空身体検査証明書および操縦練習許可書の返納が必要となる事由と手続を定めている。 |
| 第百六十二条 | ― | 操縦教育を行う操縦者に必要な最近の操縦教育経験について定めている。 |
| 第百六十二条の三 | 法第七十一条の三第一項の 国土交通省令で定める期間 | 特定操縦技能に係る審査又は確認の有効期間を二年とし、更新時の期間算定方法を定めている。 |
| 第百六十二条の四 | 法第七十一条の三第二項の 国土交通省令で定める方法 | 特定操縦技能の確認方法について、航空機の区分ごとに技能証明又は技能審査による方法を定めている。 |
| 第百六十二条の五 | 法第七十一条の三第二項の 許可の申請 | 特定操縦技能に係る許可申請書の記載事項を定めている。 |
| 第百六十二条の六 | 操縦技能審査員 | 操縦技能審査員の認定申請手続および添付書類を定めている。 |
| 第百六十二条の七 | ― | 操縦技能審査員の認定基準について欠格事由、技能、経験及び講習修了要件を定めている。 |
| 第百六十二条の八 | ― | 操縦技能審査員に対する証票の交付および携帯義務を定めている。 |
| 第百六十二条の十 | ― | 操縦技能審査員が定期的に受講すべき講習の頻度および免除要件を定めている。 |
| 第百六十二条の十一 | ― | 操縦技能審査員が講習を受講しなかった場合の認定失効について定めている。 |
| 第百六十二条の十二 | ― | 操縦技能審査員の証の返納義務および手続を定めている。 |
| 第百六十二条の十三 | 特定操縦技能の審査 | 特定操縦技能審査の申請方法および提出書類を定めている。 |
| 第百六十二条の十四 | ― | 特定操縦技能審査の実施内容、審査方法および模擬装置の使用について定めている。 |
| 第百六十二条の十五 | ― | 特定操縦技能審査の結果記載事項および国土交通大臣への報告義務を定めている。 |
| 第百六十二条の十六 | ― | 特定操縦技能審査に不合格となった場合の技能証明書提出および返還手続を定めている。 |
| 第百六十二条の十八 | ― | 特定操縦技能練習の監督者について操縦練習監督者の規定を準用することを定めている。 |
| 第百六十七条の二 | ― | 経験の証明について第四十四条の規定を準用することを定めている。 |
| 第百六十九条 | 試験の期日等の公示及び通知 | 技能検定の試験期日等の公示方法および申請者への通知を定めている。 |
| 第百九十七条 | 曲技飛行等を行うことができる高度 | 曲技飛行や著しい高速の飛行を行うことができる高度の基準を定めている。 |
| 第百九十七条の二 | 曲技飛行等を行うことができる飛行視程 | 曲技飛行等を行う場合に必要とされる飛行視程の基準を定めている。 |
| 第百九十七条の三 | 曲技飛行 | 法における曲技飛行の具体的内容を定義している。 |
| 第百九十七条の四 | 著しい高速の飛行 | 著しい高速の飛行を音速を超える速度で行う飛行と定義している。 |
| 第百九十八条 | 曲技飛行等の許可の申請 | 曲技飛行等の許可を受けるために提出すべき申請書の記載事項を定めている。 |
| 第百九十八条の二 | 航空交通の安全を 阻害するおそれのある飛行 | 航空交通の安全を阻害するおそれのある飛行の具体例を定めている。 |
| 第百九十八条の三 | 操縦練習飛行等の許可の申請 | 操縦練習飛行等に係る許可申請書の記載事項を定めている。 |
| 別表第二 | 第四十二条、 第四十三条関係 | 資格または証明ごとに必要な飛行経歴その他の経歴を定めている。 |
| 別表第三 | 第四十六条、 第四十六条の二関係 | 学科試験と実地試験の科目について定めている。 |
| 別表第四 | 第六十一条の二関係 | 航空身体検査の基準について定めている。 |






コメント