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航空法におけるハンググライダーの扱い【自家用操縦士(上滑)】

本記事では、自家用操縦士(上級滑空機)を目指す学習者向けに、航空法におけるハンググライダーの扱いを整理する。

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はじめに

自家用操縦士(上滑)のライセンス取得を目標としつつ、少しわき道にそれて、航空法におけるハンググライダーの扱いについて説明する。

なお、この記事の内容は筆者が航空法、航空法施行規則、その他公的な情報などをもとにまとめたものである

記述の参考とした文献を記しているので、より詳細な記述や原文を確認したい場合はそちらを参照のこと

それではいってみよう

ハンググライダーとは

ハンググライダーとは、原則として動力を持たずに飛行する軽量の滑空機であり、パイロットが機体の下側にぶら下がり、体重移動によって操縦するスカイスポーツ用の機体である。

現代のハンググライダーは、アルミニウム合金やカーボン等のフレームに化学繊維製のセール(翼面)を張った単一翼構造(デルタ翼に近い形状)を持ち、パイロットはハーネスを装着し、コントロールバーを操作して翼下にぶら下がる姿勢で飛行する。

基本的に動力を持たず、地形によって生じる上昇気流や熱気流を利用して滑空することができる機体である。

公益社団法人日本ハング・パラグライディング連盟 ::ビギナーズナビ
パラグライダーやハンググライダーの技能証を発行する、パラグライディング・ハンググライディングの日本唯一の統括団体。フライヤー登録証の発行業務、日本選手権の主催、世界選手権への選手派遣を行う公益法人団体

ハンググライダーも「滑空」することができる機体であることに間違いはないので、まずは航空法における「滑空機」の定義を確認し、法的な位置づけを整理していく。

航空法における滑空機の定義

航空法における「滑空機」は、

航空法 → 航空法施行規則 → 附属書第一 → 耐空性審査要領

という国内法体系に加え、国際基準(EASA CS-22)の中で定義・分類・技術基準が与えられている。

航空法
 └ 航空機の定義(法2条)
    └ 滑空機
       ├ 航空法施行規則
       │   └ 滑空機の種類(規則5条の3)
       │       ├ 上級滑空機
       │       ├ 中級滑空機
       │       ├ 初級滑空機
       │       └ 動力滑空機
       ├ 附属書第一
       │   └ 耐空類別(実用U・曲技A)
       ├ 耐空性審査要領
       │   ├ I部:用語としての定義
       │   └ VI部:技術要件・重量・用途
       └ 国際基準
           └ EASA CS-22

この構造を念頭に置きつつ、それぞれの詳細について説明する。

「航空機」の定義

航空法第2条では、「滑空機」は航空法上の「航空機」の一種として明示的に位置づけられている。

(定義)

第二条 この法律において「航空機」とは、人が乗つて航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他政令で定める機器をいう。

https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC0000000231

ここで重要なのは、「航空機」が

  1. 「人が乗って」
  2. 「航空の用に供する」
  3. 「ことができる機器」

として定義されていることである

滑空機の種類

航空法施行規則第5条の3では、滑空機を4種類に分類している。

区分内容
動力滑空機動力を有する滑空機
上級滑空機曲技Aまたは実用Uで、中級・初級以外
中級滑空機実用Uで、曲技・航空機曳航不可、ウインチ曳航可
初級滑空機実用Uで、曲技・航空機曳航・ウインチ曳航不可
https://laws.e-gov.go.jp/law/327M50000800056#Mp-Ch_1-At_5_3

この分類は、操縦者資格・運用範囲・耐空性基準と直結する重要な整理である。

(滑空機)

第五条の三 滑空機の種類は、左の四種とする。

一 動力滑空機(附属書第一に規定する耐空類別動力滑空機の滑空機をいう。)
二 上級滑空機(附属書第一に規定する耐空類別曲技Aの滑空機並びに実用Uの滑空機であつて中級滑空機及び初級滑空機以外のものをいう。)
三 中級滑空機(附属書第一に規定する耐空類別実用Uの滑空機のうち、曲技飛行及び航空機えい航に適しないものであつて、ウインチえい航(自動車によるえい航を含む。次号において同じ。)に適するものをいう。)
四 初級滑空機(附属書第一に規定する耐空類別実用Uの滑空機のうち曲技飛行、航空機えい航及びウインチえい航に適しないものをいう。)

https://laws.e-gov.go.jp/law/327M50000800056#Mp-Ch_1-At_5_3

附属書第一における耐空類別としての滑空機

航空法施行規則の附属書第一では、航空機の安全性を確保するため、耐空類別という技術的な分類を定めている。

滑空機については、以下が示されている。

  • 最大離陸重量:750kg以下
  • 耐空類別:実用U または 曲技A
  • 対象となる飛行(実用U):
    • 普通の飛行
    • 失速旋回、急旋回、きりもみ
    • レージーエイト、シャンデル
    • 宙返りなどの曲技飛行

耐空性審査要領 I部における「滑空機」

耐空性審査要領 I部https://www.asims.mlit.go.jp/にログインしてからクリック)では、「滑空機」という言葉そのものが定義されている。

2-1-9 この要領において「滑空機」とは、動力装置を備えず、かつその飛行中の揚力を、主としてそれぞれの飛行状態において固定翼面上に生ずる空力的反力から得る重航空機をいう。

ここでのポイントは以下のとおり。

  • 動力装置を備えない
  • 揚力源は固定翼による空力
  • 「重航空機」であること

耐空性審査要領 VI部における技術的範囲

耐空性審査要領 VI部https://www.asims.mlit.go.jp/にログインしてからクリック)では、どの滑空機が耐空性審査の対象になるかが明確化されている。

第1章
一般
1-1 適用
1-1-1 第Ⅵ部の規定は、滑空機曲技A及び実用U並びに動力滑空機曲技A及び実用Uに適用する。
1-1-2 申請者は、当該滑空機及び動力滑空機が第Ⅵ部の該当規定に適合することを証明しなければならない。
1-1-3 滑空機及び動力滑空機は、次の1-1-3-1から1-1-3-3に規定する要件に適合しなければならない。
1-1-3-1 滑空機にあっては、最大離陸重量が750kgを超えないこと。
1-1-3-2 動力滑空機にあっては、スパーク式点火方式又は圧縮式点火方式の単発発動機を備え、W/b2[重量/(全幅)2]値が 3 kg/m2を超えず、かつ、最大離陸重量が850kgを超えないこと。
1-1-3-3 搭乗者数が2を超えないこと。
1-1-4 第Ⅵ部の規定は、特に規定する場合を除き、滑空機並びに動力装置不作動状態又は動力装置若しくはプロペラ格納状態及び動力装置作動状態の動力滑空機に適用する。以下において、単に「滑空機」と表記した場合には、動力滑空機を含むものとする。
1-1-5 特に規定する場合を除き、本規定の動力滑空機には、2-2-3又は2-2-4-1の規定に適合せず、飛行規程において自身の発動機出力のみでの離陸を禁止されている自力発航不可動力滑空機を含むものとする。自力発航不可動力滑空機については、第Ⅵ部附録Aの規定に適合することを証明しなければならない。
1-1-6 耐空類別
1-1-6-1 滑空機曲技A及び動力滑空機曲技Aは普通の飛行及び曲技飛行に適するものをいう。
1-1-6-2 滑空機実用U及び動力滑空機実用Uは普通の飛行又は普通の飛行に加え、次のaからcに規定する曲技飛行に適するものをいう。
a きりもみ
b レージーエイト、シャンデル、失速反転及び大きいバンク角での旋回
c 普通宙返り
1-1-6-3 1-1-6-2 a から c に規定する曲技飛行以外の曲技飛行を行うものは、耐空類別曲技Aの規定に適合することを証明しなければならない。
1-1-6-4 曲技A及び実用Uの両方の耐空類別で証明を得ようとする場合は、各々について該当する規定に適合することを証明しなければならない。
1-1-6-5 滑空機を曳航する動力滑空機については、附録Bへの適合を証明しなければならない。
1-1-6-6 曲技飛行の種類については附録Cに規定する。

主な要点は以下の通り。

  • 滑空機の最大離陸重量:750kg以下
  • 搭乗者数:2名以下
  • 耐空類別:
    • 曲技A
    • 実用U
  • 条件により、動力滑空機を含めて扱われる場合がある。
  • 曲技内容に応じて適合すべき基準が変わる

EASA CS-22 から見た滑空機とハンググライダー

CS-22 Sailplanes and powered sailplanes は、型式証明を受ける滑空機(sailplanes)のための基準である。

CS-22では明確に以下が示されている。

  • ハンググライダーは以下のように定義される
    • 操縦者の筋力および位置エネルギーにより離着陸
    • 低エネルギー航空機
  • 多くの国でハンググライダーは型式証明の対象外
  • CS-22 は型式証明のための技術基準であるため、ハンググライダーには適用されない

CS-22 BOOK 2

SUBPART A – GENERAL

AMC 22.1 (a) Applicability

CS–22 is not applicable to aeroplanes classified as hang-gliders and ultralights or microlights. The definitions of these aeroplanes differ from country to country. However, hang-gliders can be broadly defined as sailplanes that can take-off and land by using the pilot’s muscular energy and potential energy.

Ultralights or microlights can be described as very low-energy aeroplanes, as some of their main characteristics are strictly limited. The following criteria are often used (alone or in combination): stalling speed, weight to surface area ratio, maximum take-off weight, maximum empty weight, fuel quantity, number of seats.

In addition, both hang-gliders and ultralights/microlights are usually not type-certificated, and CS–22 prescribes minimum standards for the issue of type certificates.

筆者訳

CS-22(Book 2)一般事項

AMC 22.1(a) 適用範囲

  • CS-22は、ハンググライダーやウルトラライト機(マイクロライト機)に分類される飛行機には適用されない。
  • これらの定義は国によって異なるが、
  • ハンググライダーは一般的に、操縦者自身の筋力や高度差による位置エネルギーを使って離着陸する滑空機と考えられる。
  • ウルトラライト機またはマイクロライト機は、非常に低いエネルギー特性を持つ飛行機とされており、いくつかの主要な性能や仕様が厳しく制限されている。
    • その判断基準としては、次のような項目が、単独または組み合わせて用いられることが多い。
      • 失速速度
      • 重量と翼面積の比
      • 最大離陸重量
      • 最大空虚重量
      • 搭載できる燃料量
      • 座席数
  • ハンググライダーおよびウルトラライト機/マイクロライト機は、通常、型式証明を受けていない。
  • CS-22は、型式証明を発行するための最低限の技術基準を定めた規則であるため、これらの機体はCS-22の適用対象とはならない。

ここまで航空法をたどってきたが、結局ハンググライダーが航空法上どのように取り扱われるのかは明示した規定はない。

というわけで、次は航空局の資料から、ハンググライダーの扱いについて調べてみる。

航空局の解釈

航空局は、航空法2条の「航空機」の定義について、法文の文言をそのまま機械的に当てはめるのではなく、一定の解釈指針を示して運用している。

特にハンググライダーについては、

  • 一般的な用語としては「滑空機」に近い
  • しかし、航空局の解釈では「航空機に非該当」

という整理が明確に示されている。

航空局資料①

>無人機に関する現状と課題
https://www.mlit.go.jp/common/001085970.pdf

航空局は、航空法2条に基づく「航空機」への該当性について、次の3つの観点から判断している。

  1. 「人が乗って」
  2. 「航空の用に供する」
  3. 「ことができる機器」
https://www.mlit.go.jp/common/001085970.pdf

① 人が乗って

判定内容
機体に人が着座し、着陸装置を装備したもの
×パラシュート等に人がぶら下がり、人の足で着地するような軽量なもの

ここでは、「人が機体に着座しているか」「着陸装置を備えているか」といった点が、判断要素として示されている。

ハンググライダーは、

  • 操縦者が機体に「着座」していない
  • 着陸装置を備えず、操縦者の脚で離着陸する

ため、「人が乗って」いるわけではないと整理されている。

② 航空の用に供する

判定内容
空中で意思に従って操作することが可能なもの
×空中を浮遊するが、意思に従って操作できないもの

ハンググライダーは、体重移動による操縦が可能であり、「航空の用に供する」と整理できる。

③ ことができる機器

判定内容
人を乗せて飛行する機器
実際に人を乗せていないが、人が乗るものと同等の性能・構造を有する機器

ハンググライダーは、

  • 操縦者が機体構造の一部として「ぶら下がる」形態
  • 重量・性能が操縦者の身体能力に強く依存

という点から、「人が乗るものと同等の性能・構造を有する機器」には該当しないと解釈されている。


これらの整理より、ハンググライダーは、「航空機」の定義における「人が乗って」「航空の用に供する」「ことができる機器」のすべてを満たしてはいないため、航空法上の「航空機」の適用外であると解釈されている。

航空局の資料②

>小型航空機等の安全性向上に向けた取組状況及び今後の方向性
https://www.mlit.go.jp/common/001256494.pdf

この資料では、ハンググライダーおよびパラグライダーについて、以下のように明確に結論づけている。

https://www.mlit.go.jp/common/001256494.pdf
  • ハング・パラグライダーは、人がぶら下がった状態であることから、人が乗って航空の用に供することができるものには該当しない
  • また、操縦者自らの脚で離着陸するものであり、重量も自ずから限定される等、性能も限定される
  • ⇒ 航空法上の航空機ではなく、安全に関する技術基準等は業界団体等で制定

よって、

  • ハンググライダーは航空法2条の「航空機」ではない
  • 耐空証明・型式証明の対象外
  • 航空法に基づく技術基準は直接適用されない

という位置づけが、航空局の行政解釈となる。

航空法が適用されるケース

ハンググライダー自体は航空法の適用対象外であるが、一定の状況では、航空機の飛行の安全に関わる行為として航空法による規制を受けることがある。

飛行の安全に影響を及ぼす行為

航空機に非該当であっても、航空機の飛行の安全に影響を及ぼす行為として、航空法の規制対象になる場面が存在する。

航空法134条の3では、

  • 航空交通管制圏
  • 航空交通情報圏
  • 特別管制空域
  • 進入表面・水平表面等の上空

において、航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為を規制している。

法第百三十四条の三 

何人も、航空交通管制圏、航空交通情報圏、高度変更禁止空域又は航空交通管制区内の特別管制空域における航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのあるロケットの打上げその他の行為(物件の設置及び植栽を除く。)で国土交通省令で定めるものをしてはならない。ただし、国土交通大臣が、当該行為について、航空機の飛行に影響を及ぼすおそれがないものであると認め、又は公益上必要やむを得ず、かつ、一時的なものであると認めて許可をした場合は、この限りでない。

2 前項の空域以外の空域における航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為(物件の設置及び植栽を除く。)で国土交通省令で定めるものをしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を国土交通大臣に通報しなければならない。

3 何人も、みだりに無人航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある花火の打上げその他の行為で地上又は水上の人又は物件の安全を損なうものとして国土交通省令で定めるものをしてはならない。

筆者訳

第1項
航空交通管制圏、航空交通情報圏、高度変更が禁止されている空域、または航空交通管制区内の特別管制空域では、航空機の飛行に支障を与えるおそれがある行為をしてはならない。
ここでいう行為には、ロケットや花火の打上げなど、国土交通省令で定められたものが含まれ、物を設置したり植えたりする行為は含まれない。
ただし、その行為が航空機の飛行に影響しないと国土交通大臣が判断した場合、または公共のために必要で、かつ一時的なものであると認められて国土交通大臣の許可を受けた場合には、行うことができる。

第2項
第1項に挙げた空域以外の空域であっても、航空機の飛行に影響を及ぼすおそれがある行為のうち、国土交通省令で定められたものを行おうとする場合には、事前に、その内容を国土交通大臣に知らせなければならない。

第3項
無人航空機の飛行に影響を及ぼすおそれがあり、かつ地上や水上にいる人や物の安全を損なう行為として国土交通省令で定められた行為については、正当な理由なく行ってはならない。

航空法施行規則第239条の2では、「航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為」として、ハンググライダーの飛行を明示的に列挙している。

七 ハンググライダー又はパラグライダーの飛行を第一号の空域で行うこと。

https://laws.e-gov.go.jp/law/327M50000800056#Mp-Ch_12-At_239_2

これは、ハンググライダー自体が「航空機」ではなくても「航空機の安全に影響を与える存在である」という位置づけに基づく規制である。

規則第二百三十九条の二 

法第百三十四条の三第一項の航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為で国土交通省令で定めるものは、次の各号に掲げる行為とする。

一 ロケット、花火、ロックーンその他の物件を法第百三十四条の三第一項の空域(当該空域が管制圏又は情報圏である場合にあつては、次に掲げる空域に限る。)に打ち上げること(捜索、救助その他の緊急性がある場合におけるものを除く。)。

イ 進入表面、転移表面若しくは水平表面又は法第五十六条第一項の規定により国土交通大臣が指定した延長進入表面、円錐表面若しくは外側水平表面の上空の空域
ロ 法第三十八条第一項の規定が適用されない飛行場の周辺の空域であつて、航空機の離陸及び着陸の安全を確保するために必要なものとして国土交通大臣が告示で定める空域
ハ 緊急用務空域
ニ イからハまでに掲げる空域以外の空域であつて、地表又は水面から百五十メートル以上の高さの空域

二 気球(玩具用のもの及びこれに類する構造のものを除く。)を前号の空域に放し、又は浮揚させること。

三 凧を第一号の空域に揚げること。

四 模型航空機(無人航空機を除く。次条において同じ。)を第一号の空域で飛行させること。

五 可視光線であるレーザー光を第一号の空域を飛行する航空機に向かつて照射すること。

六 航空機の集団飛行を第一号の空域で行うこと。

七 ハンググライダー又はパラグライダーの飛行を第一号の空域で行うこと。

2 法第百三十四条の三第一項ただし書の許可を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を国土交通大臣に提出しなければならない。

一 氏名、住所及び連絡場所
二 当該行為を行う目的
三 当該行為の内容並びに当該行為を行う日時及び場所
四 その他参考となる事項

https://laws.e-gov.go.jp/law/327M50000800056#Mp-Ch_12-At_239_2
筆者訳

航空法第134条の3第1項でいう「航空機の飛行に影響を与えるおそれがある行為」とは、次に挙げる行為を指す。

以下に示す空域:

  1. 空港の進入表面、転移表面、水平表面、または国土交通大臣が指定した延長進入表面、円錐表面、外側水平表面の上空の空域。
  2. 航空法第38条第1項の許可を必要としない飛行場の周辺で、航空機の離陸や着陸の安全を確保するために必要として、国土交通大臣が告示で定めた空域。
  3. 緊急用務空域。
  4. 上記1)から3)以外の空域で、地表または水面から150メートル以上の高さの空域。

で行う以下に示す行為:

  1. ロケット、花火、ロックーンなどの物を、次に示す空域に向けて打ち上げる行為をいう。
    ただし、捜索や救助など、緊急性がある場合は含まれない。
  2. 玩具用のものや、それと同じような構造のものを除いた気球を、放したり、浮かべたりする行為。
  3. 凧を揚げる行為。
  4. 無人航空機を除く模型航空機を飛行させる行為。
  5. 可視光のレーザー光を飛行している航空機に向けて照射する行為。
  6. 複数の航空機による集団飛行を行う行為。
  7. ハンググライダーまたはパラグライダーを飛行させる行為。

航空法第134条の3第1項により、これらの行為について国土交通大臣の許可を受けようとする者は、次の内容を記載した申請書を国土交通大臣に提出する必要がある。

  • 申請する者の氏名、住所、連絡先。
  • その行為を行う目的。
  • 行為の具体的な内容と、実施する日時および場所。
  • そのほか、判断の参考となる事項。

超軽量動力機

航空:超軽量動力機等の安全確保 - 国土交通省
国土交通省のウェブサイトです。政策、報道発表資料、統計情報、各種申請手続きに関する情報などを掲載しています。

航空法における超軽量動力機(一般にはウルトラライトプレーン、マイクロライト機とも呼ばれる)は、ハンググライダーに小型動力装置(エンジン)を取り付けたものなどから発展した航空機の一種である。

国土交通省によると、超軽量動力機とは操縦者が着座姿勢で飛行を行いうる着陸(水)装置と動力装置を装備した簡易構造の飛行機で、以下の要件を満たすものをいう。

  • 単座又は複座であること。
  • 自重は、単座のものは180kg以下、複座のものは225kg以下であること。
  • 翼面積は10m2以上であること。
  • 最大水平速度は、185km/h以下であること。
  • 推進力はプロペラで得るものであること。
  • 車輪、そり、フロート等の着陸装置又は着水装置を装備したものであること。
  • 燃料タンク容量は30リットル以下であること。
  • 対気速度を計測できる機器及び高度を計測できる機器を装備したものであること。

超軽量動力機には、ハンググライダーにエンジンを装備したものから小型飛行機に似た構造のものまで、様々な形態が存在する。

ハンググライダー自体は航空局の解釈において「航空機」に該当しないとされるが、ハンググライダーにエンジンを装備し、操縦者が着座姿勢で飛行するようにしたものは「超軽量動力機」として航空機の扱いを受ける。

つまり、機体構造の違い(着座装置+エンジン+着陸装置)によって、法的な扱いが変わっていることになる。

航空機の定義
  ├ — 通常の航空機(飛行機・回転翼機・滑空機 等)
  ├ — ハンググライダー(航空機に非該当)
  └ — 超軽量動力機(航空機として扱われるが、特例的制度下)
         ├ 機体:着座姿勢+動力+着陸装置
         ├ 許可制度(法11条但し書き、法28条第3項、法79条但し書き)
         └ 安全確保のための基準・運用

超軽量動力機の航空法上の扱い

超軽量動力機は、航空法上は「航空機」として扱われる。

しかし、超軽量動力機はスポーツやレクリエーションを目的とした飛行に用いられることが前提であり、機体構造や各系統、性能が一般の航空機とは大きく異なる。

この特性により、通常の航空機に対して適用される耐空証明や技能証明の制度を、そのまま超軽量動力機に適用することは困難であるとされている。

そのため、超軽量動力機については、一般の航空機と同一の耐空証明・技能証明制度は適用されず、超軽量動力機の特性に適した別の取り扱いが行われている。

超軽量動力機の飛行については、航空法上の技術基準・操縦資格が直接適用されない一方で、航空局の制度として、

  • 超軽量動力機等を航空の用に供するために
  • 超軽量動力機等を操縦するために
  • 超軽量動力機等を航空法で規定する飛行場以外の場所で離着陸させるために

という形で、航空法上の許可を必要とする。

>超軽量動力機等の安全な飛行のために
https://www.mlit.go.jp/common/001263857.pdf

小型無人機等飛行禁止法

ハンググライダーは航空法上の「航空機」には該当しないが、小型無人機等飛行禁止法(重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律)においては「特定航空用機器」として扱われる。

>小型無人機等飛行禁止法関係|警察庁Webサイト
https://www.npa.go.jp/bureau/security/kogatamujinki/index.html

>小型無人機等飛行禁止法について 警視庁
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kurashi/heion/drone.html

>防衛省・自衛隊:小型無人機等飛行禁止法関係
https://www.mod.go.jp/j/presiding/law/drone/index.html

>航空:無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール - 国土交通省
https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10_000003.html


小型無人機等飛行禁止法は、航空法とは異なる目的で制定された法律であり、重要施設の安全確保を直接の目的としている。

航空法が航空機の安全運航や航空交通の秩序維持を目的とするのに対し、本法は国の重要施設等の上空における飛行行為そのものを禁止している。

本法の目的は以下の点に集約される。

  • 国会、官邸、外国公館、防衛関係施設、空港、原子力事業所などの重要施設に対する危険の未然防止
  • 国政の中枢機能、国際関係、防衛基盤、国民生活および経済活動の基盤の維持
  • 公共の安全の確保

これらを達成するため、対象施設およびその周辺地域の上空での小型無人機等の飛行を原則禁止としている。

小型無人機等の飛行

第二条(定義)

5 この法律において「小型無人機等の飛行」とは、次に掲げる行為をいう。
一 小型無人機を飛行させること。
二 特定航空用機器を用いて人が飛行すること。

https://laws.e-gov.go.jp/law/428AC1000000009#Mp-At_2

小型無人機等飛行禁止法第2条第5項より、同法で禁止の対象となる「小型無人機等の飛行」は、次の行為を指す。

  • 小型無人機を飛行させること
  • 特定航空用機器を用いて人が飛行すること

ここで、新しく出てきた「小型無人機」「特定航空用機器」という2つの定義について説明する。

小型無人機

第二条(定義)

3 この法律において「小型無人機」とは、飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他の航空の用に供することができる機器であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦(プログラムにより自動的に操縦を行うことをいう。)により飛行させることができるものをいう。

https://laws.e-gov.go.jp/law/428AC1000000009#Mp-At_2

小型無人機とは、以下の要件をすべて満たす機器を指す。

  • 飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船など航空の用に供し得る機器
  • 構造上、人が乗ることができないもの
  • 遠隔操作または自動操縦により飛行させることができるもの

一般に「ドローン」と呼ばれる機体の多くがこれに該当する。

特定航空用機器

第二条(定義)

4 この法律において「特定航空用機器」とは、航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第二条第一項に規定する航空機以外の航空の用に供することができる機器であって、当該機器を用いて人が飛行することができるもの(高度又は進路を容易に変更することができるものとして国家公安委員会規則で定めるものに限る。)をいう。

https://laws.e-gov.go.jp/law/428AC1000000009#Mp-At_2

特定航空用機器は、人が搭乗して飛行する機器でありながら、航空法上の「航空機」には該当しないものを対象としている。

要件は次のとおり。

  • 航空法2条1項の「航空機」には該当しない航空の用に供することができる機器
  • 当該機器を用いて人が飛行できる(高度または進路を容易に変更できる)もの

さらに、小型無人機等飛行禁止法施行規則第2条より、特定航空用機器は以下のとおり定められている。

  • 操縦装置を有する気球
  • ハンググライダー(原動機を有するものを含む。)
  • パラグライダー(原動機を有するものを含む。)
  • 回転翼の回転により生ずる力により地表又は水面から浮揚した状態で移動することができ、かつ、操縦装置を有する機器であって、当該機器を用いて人が飛行することができるもの(航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第二条第一項に規定する航空機に該当するものを除く。)
  • 下方へ噴出する気体の圧力の反作用により地表又は水面から浮揚した状態で移動することができ、かつ、操縦装置を有する機器であって、当該機器を用いて人が飛行することができるもの

したがって、小型無人機等飛行禁止法では、対象施設周辺地域の上空でハンググライダーにより飛行する行為そのものが規制対象となっている。

おわりに

本記事では、自家用操縦士(上級滑空機)を目指す学習者向けに、航空法におけるハンググライダーの扱いを整理した

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