CFDに実装されている圧力-速度連成ソルバーにおいて速度と圧力を同じ点に配置すると発生するチェッカーボード不安定とよばれる圧力振動について説明する
Keywords:チェッカーボード不安定,checkerboard instability
チェッカーボード不安定
CFDに実装されている圧力-速度連成ソルバーにおいて,速度と圧力を同じ点に配置する「レギュラー格子」を用いると,チェッカーボード不安定とよばれる圧力振動が発生する
チェッカーボード不安定について説明するため,以下の簡単な2次元格子を考える
Pは注目する点を表し,水色で塗られた部分がコントロールボリューム(Control Volume:CV)である
NSEWはそれぞれNorth,South,East,Westの頭文字であり,小文字はそれぞれのセルの界面を表している
PのCVにおける圧力差\(\delta p\)を考えると,次のようになる
\begin{equation}
\left\{\begin{array}{ll}
&\delta p_{x}=p_{w}-p_{e} \\
&\delta p_{y}=p_{s}-p_{n} \\
\end{array}\right.
\tag{i}
\end{equation}
界面の値に対して次の補間を考える
\begin{equation}
p_{w}=\frac{p_{W}+p_{P}}{2}, \quad
p_{e}=\frac{p_{P}+p_{E}}{2}, \quad
p_{s}=\frac{p_{S}+p_{P}}{2}, \quad
p_{n}=\frac{p_{P}+p_{N}}{2}
\tag{ii}
\end{equation}
(ii)を(i)に代入すると次のようになる
\begin{equation}
\left\{\begin{array}{ll}
&\delta p_{x}=\frac{1}{2}\left(p_{_{W}}-p_{_{E}}\right) \\
&\delta p_{y}=\frac{1}{2}\left(p_{_{S}}-p_{_{N}}\right) \\
\end{array}\right.
\end{equation}
上式は,注目点Pにおける圧力差 \(\delta p_{_{P}}\)がPを挟む両隣の点の圧力差 \(p_{_{W}}-p_{_{E}}\),\(p_{_{S}}-p_{_{N}}\) によってのみ決定されることを示している(Pにおける圧力\(p_{_{P}}\)は関係ない)
このことは,1つ飛ばしで同じ圧力値が並ぶ下の図のチェス盤のような非物理的な圧力分布を「圧力差0=一様な圧力場」として認識することを示している
速度は圧力差を駆動力として加減速を行う(\(\frac{\partial u_{i}}{\partial t}=-\frac{1}{\rho}\frac{\partial p}{\partial x_{i}}\))ので,上記のような一様ではない圧力分布が圧力差0と認識されて速度が変化しないのは大きな問題である
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