航空機が風からエネルギーを得る仕組みを考えるための基礎として、対地エネルギーと対気エネルギーの二つの基準を説明する。
はじめに
本記事では、航空機が風からエネルギーを得る仕組みを考えるための基礎として、対地エネルギーと対気エネルギーの二つの基準を説明する。
一般に力学的エネルギーを考えるときは、ある慣性座標系から見た運動エネルギーと位置エネルギーの和を考える。
このような、地面固定慣性座標系から見た対地速度を用いて定義した力学的エネルギーを、本記事では対地エネルギーと呼ぶ。
一方で、風の中を飛ぶ航空機では、動圧、揚力、抗力、失速余裕などの航空機の空力状態が周囲の空気に対する相対速度である対気速度と密接に関係しているため、対気速度を用いたエネルギー量を考えると都合がいい。
本記事では、このような、対気速度を用いた運動エネルギーと位置エネルギーの和を対気エネルギーとして定義する。
実際、ダイナミックソアリングの研究でも、対気速度を用いたエネルギー量が用いられている。
本記事では、まず二つのエネルギーを定義し、その時間変化率と両者の関係を導く。
ここで得た一般式は、後続の記事で上昇風、風速の急変、一様風中の旋回、強風帯と弱風帯を用いるダイナミックソアリング、水面付近の連続的な風速勾配へ順に適用する。
本記事では、次の仮定を置く。
- 航空機を質点として扱う。
- 機体質量 \(m\) は一定とする。
- 地面固定の慣性座標系を用い、地球の曲率と自転を無視する。
- 重力加速度 \(g\) は一定とする。
- 推力を使用しない無動力飛行を扱う。
- 機体軸周りの回転運動エネルギー、構造の弾性エネルギーは扱わない。
それではいってみよう
速度とエネルギーの定義
まずは、全ての議論の基本になる座標系の定義から行う。
地面固定座標系において、風下方向を \(+x\) 、鉛直上向きを \(+z\) 、これらに対する右ねじの向きを \(+y\) とし、その単位ベクトルを \(\mathbf e_x\) 、 \(\mathbf e_y\) 、 \(\mathbf e_z\) とする。
各記号を次のように定義する。
- \(\mathbf V_g\):航空機の対地速度ベクトル \(\left[V_{g,x}, V_{g,y}, V_{g,z}\right]\)
- \(\mathbf V_a\):航空機の対気速度ベクトル \(\left[V_{a,x}, V_{a,y}, V_{a,z}\right]\)
- \(\mathbf W\):風速ベクトル \(\left[W_x, W_y, W_z\right]\)
- \(V_g=|\mathbf V_g|\):対地速度ベクトルの大きさ
- \(V_a=|\mathbf V_a|\):対気速度ベクトルの大きさ
- \(h\):任意の基準面から鉛直上向きに測った高度
- \(m\):航空機の質量
- \(g\):重力加速度
高度変化率は、対地速度を用いて
\begin{align} \dot h =\mathbf V_g\cdot\mathbf e_z =V_{g,z} \end{align}
である。
対地速度、対気速度、風速の関係は、
\begin{align} \mathbf V_g &=\mathbf V_a+\mathbf W \\ \mathbf V_a &=\mathbf V_g-\mathbf W \end{align}
となる。

対地エネルギー
まず、基準となる通常の力学的エネルギー(=対地エネルギー)から整理する。
対地エネルギーは、地面固定慣性座標系で定義した通常の力学的エネルギーである。
地面固定慣性座標系から見た並進運動エネルギーと位置エネルギーの和を、対地エネルギー \(E_g\) とする。
\begin{align} E_g =\frac{1}{2}mV_g^2 +mgh \end{align}
単位質量当たりの対地比エネルギーは、
\begin{align} e_g =\frac{E_g}{m} =\frac{V_g^2}{2} +gh \end{align}
である。
対地エネルギー高度 \(H_g\) (対地エネルギーを単位重量 \(mg\) で除し、エネルギーを等価な高度として表した量)は、
\begin{align} H_g &=\frac{E_g}{mg} =h+\frac{V_g^2}{2g} \end{align}
となる。
後で導くように、対地エネルギーを用いると、航空機が風から得るエネルギーは、移動する空気が空気力を介して航空機へ行う仕事として評価できる。
対気エネルギー
次に、航空機の空力状態と結びつきの強い対気速度を用いてエネルギーを定義する。
対気運動エネルギーと位置エネルギーの和を、対気エネルギー \(E_a\) とする。
\begin{align} E_a =\frac{1}{2}mV_a^2 +mgh \end{align}
単位質量当たりの対気比エネルギーは、
\begin{align} e_a =\frac{E_a}{m} =\frac{V_a^2}{2} +gh \end{align}
である。
さらに、重力加速度で除した対気エネルギー高度を、
\begin{align} H_a =\frac{E_a}{mg} =h +\frac{V_a^2}{2g} \end{align}
とする。
これにより、風速が変化したときに、航空機と周囲の空気との相対運動状態がどのように変化するかをエネルギーとして整理できる。
一様・定常風の場合には、これを風と同じ速度で移動する一つの慣性座標系における通常の力学的エネルギーとして解釈できる。
風速が位置または時間によって変化する場合、\(E_a\) は、各時刻・各位置の局所空気に対する速度余裕と高度をまとめたエネルギー状の状態量として扱う。
ちなみに、対気速度を用いたエネルギー量には、文献によって複数の名称が用いられており、例えば "air-relative total energy" などと表現されている。
風からエネルギーを得る一般式
ここまでで、対地エネルギーと対気エネルギーを定義した。
次に、「航空機が風からエネルギーを得る」という現象を、これらのエネルギーの時間変化率として定式化する。
具体的には、まず航空機に働く空気力と運動方程式を整理し、そこから対地エネルギーの時間変化率 \(\dot E_g\) と対気エネルギーの時間変化率 \(\dot E_a\) を導く。
後続の記事で扱う上昇風、風速の急変、一様風中の旋回、風速勾配、ダイナミックソアリングの議論は、この二つの一般式をそれぞれの風速場へ適用することで整理できる。
力の釣り合いと運動方程式
航空機に働く空気力を、
\begin{align} \mathbf F_A =\mathbf L +\mathbf D \end{align}
とする。
ここで、\(\mathbf L\) は揚力ベクトル、\(\mathbf D\) は抗力ベクトルである。

定義上、揚力は対気速度に直交し、抗力は対気速度と反対向きに働くため、
\begin{align} \mathbf L\cdot\mathbf V_a=0 \end{align}
\begin{align} \mathbf D=-D\frac{\mathbf V_a}{V_a} \end{align}
である。
したがって、空気力が対気基準で航空機に行う仕事率は、
\begin{align} \mathbf F_A\cdot\mathbf V_a &=\left( \mathbf L+\mathbf D \right) \cdot\mathbf V_a =-DV_a \end{align}
となる。
また、無推力飛行の運動方程式は、
\begin{align} m\dot{\mathbf V}_g =\mathbf F_A -mg\mathbf e_z \end{align}
である。
対地エネルギーの時間変化率
まず、対地エネルギー \(E_g\) の時間変化率を求める。
地面固定慣性座標系で定義した通常の力学的エネルギーなので、その時間変化は空気力が対地速度に対して行う仕事率として整理できる。
さらに風速 \(\mathbf W\) を用いて分解すると、抗力による損失と、移動する空気から受ける仕事を分けて表すことができる。
対地エネルギーを時間微分する。
\begin{align} \dot E_g &=\frac{d}{dt} \left( \frac{1}{2}mV_g^2 +mgh \right) \\ &=m\mathbf V_g\cdot\dot{\mathbf V}_g +mg\dot h \end{align}
ここで、運動方程式と \(\dot h=V_{g,z}\) を用いると、
\begin{align} \dot E_g &=\mathbf V_g\cdot \left( \mathbf F_A-mg\mathbf e_z \right) +mgV_{g,z} \\ &=\mathbf F_A\cdot\mathbf V_g \end{align}
となる。
さらに、
\begin{align} \mathbf V_g =\mathbf V_a +\mathbf W \end{align}
を代入すると、
\begin{align} \dot E_g &=\mathbf F_A\cdot \left( \mathbf V_a+\mathbf W \right) \\ &=\mathbf F_A\cdot\mathbf V_a +\mathbf F_A\cdot\mathbf W \\ &=-DV_a +\mathbf F_A\cdot\mathbf W \end{align}
となる。
この式は、対地エネルギーの変化が、
- 抗力による損失 \(-DV_a\)
- 移動する空気が空気力を介して航空機へ行う仕事 \(\mathbf F_A\cdot\mathbf W\)
の和で表されることを意味する。
さらに、 \(\mathbf F_A\cdot\mathbf W\) について、
\begin{align} \mathbf F_A =m\dot{\mathbf V}_g +mg\mathbf e_z \end{align}
を用いて書き下すと、
\begin{align} \dot E_g &=-DV_a +\left( m\dot{\mathbf V}_g+mg\mathbf e_z \right) \cdot\mathbf W \\ &=-DV_a +mgW_z +m\mathbf W\cdot\dot{\mathbf V}_g \end{align}
となる。
各項の物理的意味は、次のように整理できる。
| 項 | 物理的意味 |
|---|---|
| \(-DV_a\) | 抗力によるエネルギー損失率 |
| \(mgW_z\) | 上昇風による位置エネルギー獲得率 |
| \(m\mathbf W\cdot\dot{\mathbf V}_g\) | 風と加速度による動的エネルギー交換率 |
第1項の \(-DV_a\) は、抗力によって航空機の力学的エネルギーが失われていく項である。
第2項の \(mgW_z\) は、航空機の周りの空気の塊が、航空機ごと鉛直方向へ移動することで位置エネルギーを獲得する項である。
グライダーなどの上昇気流を利用する通常のソアリングは、この項によるエネルギー獲得を活用している。
第3項の \(m\mathbf W\cdot\dot{\mathbf V}_g\) は、風速ベクトルと対地加速度ベクトルの内積による動的なエネルギー交換を表す。
鉛直風のない一様な水平風であっても、風向成分を持つ加速度があれば、この項によって、空気 ⇔ 航空機のエネルギーの移動が生じる。
後続の記事で扱う正対風中での減速上昇、背風中での増速降下、風上から風下への旋回では、この第3項が正となり、風が航空機へ正の仕事を行う。
対気エネルギーの時間変化率
次に、対気エネルギーの時間変化率を求める。
対気エネルギーは対気速度 \(V_a\) を用いて定義されるため、航空機が飛行中に遭遇する風速の時間的・空間的な変化が、その時間変化率に直接現れる。
対気速度は、
\begin{align} \mathbf V_a =\mathbf V_g -\mathbf W \end{align}
であるため、その時間微分は、
\begin{align} \dot{\mathbf V}_a =\dot{\mathbf V}_g -\frac{d\mathbf W}{dt} \end{align}
\begin{align} \frac{d\mathbf W}{dt} =\frac{\partial\mathbf W}{\partial t} +\left( \mathbf V_g\cdot\nabla \right) \mathbf W \end{align}
となる。
ここで、\(d\mathbf W/dt\) は、ある地点における風速の変化ではなく、航空機の飛行軌道に沿って航空機が遭遇する風速の全微分である。
右辺第1項 \(\frac{\partial\mathbf W}{\partial t}\) は風速ベクトルの時間変化、第2項 \(\left(\mathbf V_g\cdot\nabla\right)\mathbf W\) は航空機が空間的な風速分布を横切ることによる風速ベクトルの変化を表す。
対気エネルギーを時間微分すると、
\begin{align} \dot E_a &=\frac{d}{dt} \left( \frac{1}{2}mV_a^2 +mgh \right) \\ &=m\mathbf V_a\cdot\dot{\mathbf V}_a +mg\dot h \\ &=m\mathbf V_a\cdot \left( \dot{\mathbf V}_g -\frac{d\mathbf W}{dt} \right) +mgV_{g,z} \end{align}
運動方程式と、
\begin{align} V_{g,z} =V_{a,z}+W_z \end{align}
を代入すると、
\begin{align} \dot E_a &=\mathbf V_a\cdot \left( \mathbf F_A-mg\mathbf e_z \right) -m\mathbf V_a\cdot \frac{d\mathbf W}{dt} +mg \left( V_{a,z}+W_z \right) \\ &=\mathbf F_A\cdot\mathbf V_a +mgW_z -m\mathbf V_a\cdot \frac{d\mathbf W}{dt} \\ &=-DV_a +mgW_z -m\mathbf V_a\cdot \frac{d\mathbf W}{dt} \end{align}
となる。
各項は、次の意味を持つ。
| 項 | 物理的意味 |
|---|---|
| \(-DV_a\) | 抗力による対気エネルギー損失率 |
| \(mgW_z\) | 上昇風による位置エネルギー獲得率 |
| \(-m\mathbf V_a\cdot(d\mathbf W/dt)\) | 突風または風速勾配による動的な対気エネルギー変化率 |
第1項の \(-DV_a\) と第2項の \(mgW_z\) は、対地エネルギーの時間変化率にも同じ形で現れた項である。
一方、第3項 \(-m\mathbf V_a\cdot\frac{d\mathbf W}{dt}\) は、対気速度ベクトルと風速ベクトルの時間変化との内積によって表される。
風速が時間的に変化する突風や、航空機が空間的な風速勾配を横切る場合には、この第3項によって対気エネルギーが増減する。
対地エネルギーと対気エネルギーの関係式
ここまで、対地エネルギーと対気エネルギーの時間変化率をそれぞれ導いた。
- 対地エネルギーでは、水平風による動的なエネルギー交換が \(m\mathbf W\cdot\dot{\mathbf V}_g\) として現れた。
- 対気エネルギーでは、風の影響が \(-m\mathbf V_a\cdot(d\mathbf W/dt)\) として現れた。
次に、二つのエネルギーそのものの関係を整理する。
対地エネルギーの式
\begin{align} E_g =\frac{1}{2}mV_g^2 +mgh \end{align}
に、 \(\mathbf V_g=\mathbf V_a+\mathbf W\) を代入すると、
\begin{align} E_g &=\frac{1}{2}m \left( \mathbf V_a+\mathbf W \right) \cdot \left( \mathbf V_a+\mathbf W \right) +mgh \\ &=\frac{1}{2}mV_a^2 +mgh +m\mathbf V_a\cdot\mathbf W +\frac{1}{2}mW^2 \\ &=E_a +m\mathbf V_a\cdot\mathbf W +\frac{1}{2}mW^2 \end{align}
となる。
ある状態1からある状態2までの有限変化を取ると、
\begin{align} \Delta E_g ={}&\Delta E_a +m \left( \mathbf V_{a,2}\cdot\mathbf W_2 -\mathbf V_{a,1}\cdot\mathbf W_1 \right) +\frac{1}{2}m \left( W_2^2-W_1^2 \right) \end{align}
となる。
ここで、一様・定常風の場合を考えると、風速ベクトルとその大きさは変化しないため(\(\mathbf W_1=\mathbf W_2=\mathbf W\))、
\begin{align} \Delta E_g &=\Delta E_a +m\mathbf W\cdot \left( \mathbf V_{a,2}-\mathbf V_{a,1} \right) \\ &=\Delta E_a +m\mathbf W\cdot \Delta\mathbf V_a \end{align}
となる。
また、一様な水平風では、
\begin{align} W_z=0, \qquad \frac{d\mathbf W}{dt}=\mathbf 0 \end{align}
なので、対気エネルギーの時間変化率は、
\begin{align} \dot E_a=-DV_a \end{align}
となり、有限時間では、
\begin{align} \Delta E_a =-\int_{t_1}^{t_2}DV_a\,dt \end{align}
となる。
よって、対地エネルギーの変化は、
\begin{align} \Delta E_g =-\int_{t_1}^{t_2}DV_a\,dt +m\mathbf W\cdot \Delta\mathbf V_a \end{align}
となる。
抗力を無視する理想運動では、 \(\Delta E_a=0\) なので、
\begin{align} \Delta E_g =m\mathbf W\cdot \Delta\mathbf V_a \end{align}
となる。
この有限変化式は、前に導いた対地エネルギーの時間変化率の式
\begin{align} \dot E_g &=-DV_a +mgW_z +m\mathbf W\cdot\dot{\mathbf V}_g \end{align}
からも導くことができる。
一様・定常水平風では、
\begin{align} \mathbf W =\text{const.} \end{align}
である。
したがって、
\begin{align} \mathbf V_g =\mathbf V_a+\mathbf W \end{align}
を時間微分すると、
\begin{align} \dot{\mathbf V}_g &=\dot{\mathbf V}_a +\frac{d\mathbf W}{dt} \\ &=\dot{\mathbf V}_a \end{align}
なので、
\begin{align} \dot E_g =-DV_a +m\mathbf W\cdot\dot{\mathbf V}_a \end{align}
である。
これを \(t_1\) から \(t_2\) まで積分すると、
\begin{align} \Delta E_g &=-\int_{t_1}^{t_2}DV_a\,dt +m\int_{t_1}^{t_2} \mathbf W\cdot\dot{\mathbf V}_a\,dt \\ &=-\int_{t_1}^{t_2}DV_a\,dt +m\mathbf W\cdot \Delta\mathbf V_a \end{align}
となる。
したがって、
\begin{align} m\mathbf W\cdot\dot{\mathbf V}_g \end{align}
は、一様水平風中における瞬間的な動的エネルギー交換率を表し、
\begin{align} m\mathbf W\cdot\Delta\mathbf V_a \end{align}
は、その有限時間にわたる累積量に対応する。
まとめ
ここまでの結果をまとめると、対地エネルギーと対気エネルギーの時間変化率は、
\begin{align} \dot E_g &=-DV_a +mgW_z +m\mathbf W\cdot\dot{\mathbf V}_g \\ \dot E_a &=-DV_a +mgW_z -m\mathbf V_a\cdot \frac{d\mathbf W}{dt} \end{align}
である。
対地基準では、風とのエネルギー交換は、\(\mathbf F_A\cdot\mathbf W\) という移動する空気の仕事として現れ、これを運動方程式で分解すると、鉛直風による \(W_z\) と、風の中での加速度運動に伴う \(m\mathbf W\cdot\dot{\mathbf V}_g\) に分けられる。
したがって、風との動的なエネルギー交換を生じさせるには、風向成分を持つ加速度が必要になる。
一方で、対気基準では、風速の変化が \(-m\mathbf V_a\cdot\frac{d\mathbf W}{dt}\) として現れ、これは、風が強くなる・弱くなるような時間変化と、航空機が風速の異なる場所を移動するような空間的変化の両方が含まれる。
なお、一様な水平風の中を等速直線運動している場合は、
\begin{align} W_z&=0, \\ \dot{\mathbf V}_g&=\mathbf 0, \\ \frac{d\mathbf W}{dt}&=\mathbf 0 \end{align}
であり、風に由来する追加のエネルギー獲得項は0となる。
おわりに
本記事では、地面固定慣性座標系から見た対地エネルギーと、局所的な対気速度を用いる対気エネルギーを定義し、それぞれの時間変化率を導いた。
対地エネルギーでは、風とのエネルギー交換は、移動する空気が航空機へ行う仕事として、
\begin{align} \dot E_g =-DV_a +mgW_z +m\mathbf W\cdot\dot{\mathbf V}_g \end{align}
と表される。
対気エネルギーでは、航空機が遭遇する風速変化が、
\begin{align} \dot E_a =-DV_a +mgW_z -m\mathbf V_a\cdot \frac{d\mathbf W}{dt} \end{align}
として現れる。
対気エネルギーは、空気力、失速余裕、抗力損失、飛行可能性を評価するときに使いやすく、対地エネルギーは、移動する空気が航空機へ行う仕事を評価するときに使いやすい。
次の記事では、この二つの一般式を一様な上昇風と、非常に短い時間で生じる水平風速の変化へ適用し、具体的なエネルギー移動を考える。



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